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それが気になったのは、いつ頃からだろうか。 ―――――――――――――――――――― 弾丸論破 ナエギリSS 『女の子・1』 ―――――――――――――――――――― 「えっと…親子丼」 「ハンバーグプレート、ポテトサラダとライスを大盛りで。あとコーンスープ」 …念のため言っておくと、前者が僕の注文だ。 いや、これでも食欲旺盛な男子高校生。 今日はたまたま、懐の経済事情が厳しいので、量の割に安い丼ものを頼んだというだけ。 仮に僕が、値段やカロリーを気にせずに後者の注文をしたとて、誰が咎めるだろうか。 そう、問題点はそこである。 僕が頼めば、なんの違和感もない、そのハンバーグプレート大盛り。 注文したのは、僕の隣で凛と佇む、細身の少女なのだ。 隣に並んでいる男子が、マジかよと言わんばかりにこちらを見ている。 マジである。 此方におわします『超高校級の探偵』霧切響子さん。 彼女は、大の男が食べるような量のご飯を、涼しい顔をしてペロリと平らげてしまうのである。 ――――― 『隣、いいかしら』 『あ、うん。喜んで』 そう言って、彼女と昼食を共にしたのはいつが最初だっただろうか。 最初はなぜか、気にならなかったのだ。 モリモリと食事を口に運んでいく彼女の姿が、やけに自然というか、絵になっているというか。 しかし、他の女の子の昼食や、周囲の反応を見て、少しずつ僕も違和感を感じるようになっていった。 大食い、という言い方では品が無い。 霧切さんは、すごい…こう、すごい食べる人だ。 自分のボキャブラリの無さは、考え出すと悲しさが溢れだすから、まあ目をつぶるとして。 当然ながら混雑している昼食時の食堂は、相席を余儀なくされる。 それなら、誰とも知らない相手と気まずいランチタイムを過ごすより、顔見知りのクラスメイトの方がマシだ、と。 そんな理由で、食堂で顔を合わせれば、僕達はどちらからともなく互いに隣り合うようになった。 クラスと寮が同じと言うだけの、僕と彼女の接点なんて、その程度だ。 そもそも住んでいた世界が違うんだし。 ――――― 「いただきます」 「いただきます」 互いに手を合わせ、自分の昼食に手を伸ばす。 「…」 「…」 双方無言。 ただ黙々と行儀よく、食器の鳴る音だけが二人の間に響く。 僕と彼女のランチタイムはこんなものだ。 会話が弾む時もあれば、互いに一言も発せずに終わる時もある。 霧切さんが話題を切り出すことも時々あるし、僕から何か尋ねれば、例外なく彼女は反応を返してくれる。 最初の頃は沈黙が痛くて、必死に会話を繋げようとどうでもいい話を繋げて繋げて。 けれど最近は、この沈黙にも慣れてきた。 慣れては来たのだけど。 「…」 やっぱり、せっかく一緒に食事を取っているんだし、話はしたい。 それは、彼女が持つ『探偵』という性質のせいなのだろうか。 一度霧切さんが沈黙すると、こちらから話題を切りだすのに酷く緊張させられるのだ。 直接拒まれたことはないけれど、霧切響子と言う人間に踏み込むのは憚られる。 それは、砕いていうなら、絡みにくいとかそういう言葉になるのだろう。 つまるところ、僕はまだ彼女のメールアドレスすら知らずにいるのだ。 そして、例えば他の友人たちのように、一緒に帰ったり、どこかに出かけたりという所までは望まなくとも。 もう少し彼女とも親密になりたいな、なんて思っていたりするのだ。 「…、と」 何か切り出すきっかけを探して、僕はまた彼女が食べる様に目を向けた。 希望ヶ峰学園の学生食堂は、かなりレベルが高い。 購買もあるのに昼食時に混雑するのは、それが理由だったりする。 彼女が食べているハンバーグプレート一つにつけてもそうだ。 その重厚感たるや、思わず『ファミレス!?』と突っ込んでしまいそうな質とボリューム。 それにコーン、ポテト、ブロッコリーに人参のグラッセと、付け合わせも豊富。 本格的にも、熱した鉄板に乗せられてくる。 まあ、普通の女子高校生が昼から頼むような料理じゃない、と思う。 そして、そんな肉々しさたっぷりのハンバーグプレートを、 ひょい、ひょい、と、かなりのハイペースで、霧切さんは口の中に押し込んでいく。 不思議と粗野な感じはしない。 驚くほど丁寧な所作で、肉を切り分け、フォークの背にライスを乗せて、口に運んでいく。 あくまでテーブルマナーに乗っ取ったその食事は、むしろ上品なものに感じてしまう。 「…苗木君」 と、彼女に名前を呼ばれて、ふと僕は我に帰る。 霧切さんはいつの間にか手を止めて、ジト目で僕のことを見ていた。 「そんなに見られていると、食べにくいわ」 「あ…そうだよね、ゴメン」 「謝る必要はないけれど。私の顔に何か付いていたの?」 「――いや、よく食べるな、と思って」 「…」 二階級特進。 そんな不穏な単語が、頭をよぎった。 「…あ、いや、その…」 馬鹿か。よりにもよって、女の子に面と向かってそんなこと。 せめて、もう少しオブラートに包んだ言い方だってあるだろうに。 どうしてこういう時に気が利かないんだ、僕って男は。 と、及ばざるがごとしながらも、謝罪の言葉を口にしようとして、顔を上げると。 「…そうかしら。まあ、苗木君と比べれば健啖な方だけど」 言われた本人は、当惑するでも顔を赤く染めるでも、ましてやデリカシーの無い僕に愛想を尽かすわけでもなく。 淡々とそう返して、また食事に戻るのだった。 「…」 うん、まあ。彼女の言っていることはおおむね間違ってはいないんだけど。 確かに、霧切さんが食べている量は、規格外かと問われればそうでもない。 僕にしたって、それほど大食いと言えるわけじゃないし。 あくまで比較して、彼女の方が量が多いという、それだけの話なんだけど。 なんだかなあ、と頭を掻いて、僕も自分の食事に戻っていった。 そもそも、今の発言を気にするなら、最初からあんな量を頼んではいないか。 ――――― 以前舞園さんと昼食を共にした時のことだ。 霧切さんの量に慣れている僕は、彼女の昼食に目を丸くしたのを覚えている。 『苗木君…これ、半分食べてくれませんか?』 言って彼女が差し出したのは、まだ手の付いていない、主菜の肉野菜炒め。 お腹が膨れて残すのならともかく、なぜ食べる前からくれるのだろう、と僕が顔を傾げると、 『や、さすがに一度箸をつけたものを渡すわけには…いかないじゃないですか』 と、照れ半分困り半分で笑う舞園さんの顔があった。 いわく、最初から半分しか食べない予定で注文したらしい。 ライスも小盛りで、サラダとみそ汁でお腹を膨らませる作戦なのだとか。 『油断するとすぐに増えるんです…!乙女の敵です!』 なんて、厳しい目をして語っていたっけ。 いくらアイドルとはいえ痩せているんだし、もう少しくらいゆとりのある食生活でも罰は当たらないだろうに。 どうも昨今は、淑女たるもの小食たれ、という風潮に囚われてしまっているみたいだ。 慎ましやかは結構な事だと思うけれど、なんだかなあ、と思ってしまう。 テーブルマナーや淑女のたしなみも結構な事だと思うけれど。 やっぱり、残さず美味しく好きなだけ食べることが、料理に対しての一番の礼儀だと思う。 なので、肉野菜炒めは一口だけもらって、後は丁重にお断りして、 お返しに、えび天重のえびを一匹丸々、半ば無理やりに食べてもらったっけ。 『うう…恨みます、苗木君…』 そう言いながらもえび天を頬張る舞園さんは幸せそうで、思わず頬が緩んだのだった。 ――――― さて、それから見ればもう一方。 こちとら何の躊躇いも無く、『男子の前で』『豪快な肉料理を』『大盛りで』頼める女傑である。 この学園で同じことができるのは、後は水泳少女くらいじゃないだろうか。 誤解のないように付け加えると、当然僕はそれを否定しているわけじゃない。 むしろ、彼女がそうやって食べている様子は、見ていて気持ちがいいほどだ。 一緒に食事をしていれば、思わず釣られてこちらの食も進むほど。 前述の通り、希望ヶ峰学園の学食はレベルが高い。 その中でも、とりわけ根強い人気を誇るのが、この親子丼である。 「ん…」 一掬いして、口に。 卵の半熟具合はもちろんのこと、塩ベースのタネに出汁の風味が効いている。 炭火で焼いて旨みを閉じ込めた大ぶりの鶏肉と長ネギに、口の中で広がるしめじの香りのアクセント。 うん、やっぱり美味い。自然と顔が綻ぶ。 これでワンコインなんだから、もう何も言い残すことはありません。 これは真似しようと思ってもなかなか真似できないクオリティ。 黄金比ともいえるタネの配合なんか、特に。 これを食べられるというだけでも、希望ヶ峰学園に入学した甲斐が、…… ふ、と視線を感じて、目を上げる。 さっきとは逆に、今度は霧切さんが食事の手を止めて、僕をじっと見ていた。 「…あの、どうかした?」 「いえ、別に」 いやいや、さっき自分で、食べている人を凝視するなと抗議しておいて、それはないでしょう。 と、抗議の視線を送ってみれば、 「…苗木君、もしかして食にはかなりうるさい方なのか、と思って」 そんな、突拍子もない答えが返ってきた。 「へ?」 「やっぱり、自分では気付いていないのね。あなたの目、すごく輝いているわよ」 親子丼を食べている時や、私のハンバーグを見ている時も、と、彼女が付け足す。 「――っ…」 途端に、顔が熱くなった。 「ちなみに、探偵は関係ないわよ。あなた、顔に出やすいもの」 それは、子供のように食べ物で一喜一憂する、食い意地の張った自分を恥じてか、 それとも、すぐ隣で微笑んでいる彼女の顔が、反則級だったからか。 「否定しないということは、図星?」 どちらにせよ、と。 照れ隠しに、僕は切り返す。 「霧切さんこそ、結構食べるけど…こういうのは好きなんじゃないの?」 「私?」 尋ねれば、面喰ったように目を見開いて、それから伏せる。 「…どうかしら。娯楽としての食生活は悪くないとは思うけれど…あまりしてこなかったわ」 「どうして?」 「必要性を感じなかった、という言葉では、味気ないかしら」 それは、うん、確かに。 味気ないというか、もったいないというか。 と、自分のことを語るのは思う所じゃないのだろう。 居心地悪そうに口籠り、それから彼女は話題を戻した。 「…私のことはいいのよ。それより、あなたの話を聞かせて」 「え、僕?」 「そうよ。食事の話題を切り出したのは、あなたの方でしょう?」 おかしなルールもあったものだ。 まあ、確かにきっかけは僕に違いないんだけど、あれは口が滑ったというか、そんなつもりじゃなかったというか。 「それに…あなた、あまり自分のことは話さないでしょう」 「そう?それを言うなら、霧切さんだって話したがらないよね」 「私はそんなことないわ。隠しているわけじゃないもの」 「それなら僕だって。隠してるわけじゃないし」 「あら、隠してるわけじゃないなら、聞いてもいいのよね?」 詭弁だなぁ、と思いつつ。 ふふふ、と不敵に笑う霧切さん。 目がきらきらと輝いているのは、多分本人も無意識の所なんだろう。 「『超高校級の幸運』の謎を解き明かす、絶好の機会ね。覚悟しなさい苗木君、丸裸にしてあげるわ」 そもそも探偵業、知らないことを知る、というその行為がもう趣味の領域なんだろう。 でも、せっかく目を付けてもらって悪いんだけど。 「…本当に、人に話せるような面白い話はないよ」 僕も、あんまり気が乗らない。 霧切さんを満足させられるような話があるとも思えないし。 「僕は、霧切さんの話を聞きたいんだけどな。外国にいた頃のこととか」 「私の話こそつまらないわ。人に話せるような面白い話はない」 「いや、だから僕も、」 「あなたの話がつまらないかどうかは、私が聞いて決めるからいいのよ」 「でも、それなら霧切さんの話だって、」 「そういえば調理実習の時も、苗木君の班だけやたらに盛り上がっていたわね」 ああもう、なんなのこの人。 自分のことは棚に上げて、すごいぐいぐい来る。 こっちの言い分は、聞く耳すら持ってくれないのに。 僕の押しが弱いせいもあるんだろうけど、どうも探り合いじゃ分が悪いようだ。 こういう、少し強引に情報を聞きだす技術も、探偵には必要なんだろう。 彼女の追及から逃れる術も思いつかないし、仕方なしに覚悟を決めた僕の目の前に、 つ、と、一切れのハンバーグが差し出された。 何事かと思って顔をあげれば、霧切さんがフォークで器用にそれを僕の器の中に入れている。 そして、『これで満足か』と言わんばかりのドヤ顔。 意訳、ハンバーグあげるからこっちの話に付き合いなさい。 いや、あの。 仮にも女の子がですね、そういう食事中のマナーというか、 一度口を付けた食器で、男子に料理を渡すという行為は、 「…苗木君?」 そういうの、意識しちゃうじゃないか。 「は、はい…」 霧切さんは、ハンバーグを茫然と見ている僕を訝しげに見て、首をかしげた。 その仕種が少しだけ子供っぽくて、いつもの大人びた霧切さんとのギャップに、さらにドキッとさせられる。 「食べないの?ハンバーグは嫌いだった?」 「いや、そんなこと…うん」 いやいや、待て僕。 首をかしげた、ということは、霧切さんは気づいていないか――それともなんとも思っていないのか。 どちらにせよ彼女が気付いていないのなら、それを僕が意識するのは彼女にも失礼じゃないか。 そう思い、いざ一口に放り込んだハンバーグは、 「あふっ!」 先ほどまで鉄板の上にあったためか、思っていたよりもかなり熱く、 霧切さんに、子供の戯れを見るような眼で笑われてしまうのだった。 ――――― 「――じゃあ、ご両親が出張の際は、部活で帰りの遅い妹さんのために料理を作っていたのね」 「まあ、そうなるかな。うち、共働きだったし」 焼けた石のように熱かったハンバーグも、のど元過ぎれば何とやら。 急いで飲みこんでしまったのが惜しくなるほど、口の中には肉汁の風味が残っている。 僕が飲み込むや否や、矢継ぎ早に霧切さんに質問責めにされて、十分弱。 ホントにこんなつまらない男子の話の何が楽しいのか。 へえ、とか、ふーん、とか言いながら、霧切さんは相変わらず目を輝かせている。 「今も料理はしているの?」 「まあ…暇なときとか、小腹がすいたときとかに、ちょっと」 「得意な料理は?」 「うーん…どうだろ、意識したことないかな。レシピと材料があれば、大抵のものは作れる…と思う」 「そう。煮ものとか、そういう地味…家庭的な料理が似合いそうだから、そっちかな、とも思ったんだけど」 くす、と誤魔化すように笑う霧切さんを、僕はねめつけた。 「…今、なんか攻撃的な単語が聞こえたんだけど」 「気のせいじゃないかしら?」 悪びれた様子も無く、彼女は僕をからかって楽しんでる。 その笑みにあまりにも邪気が無くて、それ以上追及する気がそがれた。 けど、と。 「…煮ものは地味じゃないと思う」 反撃にもならないけど、ぼそりと言い返す。 確かに時間との勝負のような料理だけれど、だからって手が抜けるわけじゃない。 素材や作る量によって、調味料と相談が必要だ。火加減にも気を抜けないし、灰汁取りも面倒。 味のしみ込み方や、食べる相手の年齢も考えて、具材の切り方にすら気を配る必要がある。 そういう手間がかかるという意味では、ある意味僕の苦手な料理と言えるかもしれない。 「――だから、煮ものは地味どころか、すごく奥が深い料理なんだよ」 と、言葉とともに、ビシッと霧切さんばりに人差し指を立ててキメて、 「…」 「…」 その行為の恥ずかしさに耐えきれず、そろそろと腕を机の下に戻した。 向かいの席に座っていた生徒が、何事か、と僕の方をじろじろ見ている。 ああ、また調子に乗っちゃった、恥ずかしい。 「…だから、話したくなかったんだ」 「あら、どうして?料理の話をしている苗木君は、すごく活き活きしているわ」 だから、だ。 まるでいつもの自分のテンションじゃないみたいになってしまう。それは、すごくみっともないし、それに、 「…可笑しいでしょ。男が料理好きなんて」 以前の調理実習で、僕の班が盛り上がっていた原因の半分はそれだ。 みんなの包丁捌きの危なっかしさや、料理知識の不足さを見かねて、僕があまりにも出張ってしまった。 『うおお、千切り早えええww』 『苗木すげえ、女子よりすげえww』 『お前もう専業主夫だなww』 彼らはたぶん、称賛してくれたんだろう。 けれど男子にとって、称賛と冷やかしは紙一重。 他の班からも湧いてきたギャラリー、その好奇の目に、僕は実習中延々と晒されることになってしまった。 …あの時の恥ずかしさは、ちょっとトラウマ。 「それは偏見よ」 と、意趣返しか、霧切さんが僕の鼻先に人差し指を突きつけた。 やっぱりこのポーズは、彼女がやらなけりゃ様にならない。 「…念のため言っておくけれど、地味だなんて冗談よ。気を悪くさせたのなら、謝るわ」 「あ…ううん、気にしないで」 急に霧切さんが真面目な顔になったので、面喰らってしまう。 感情の機微に敏いのか、こういう会話の中で彼女は時々、すごく律義というか真面目になってしまうのだ。 それは彼女の、隠れお人好しな人柄から来るんだろう。でも、今だけは少し居心地の悪さを感じる。 「――まあ、得意かどうかは分からないけれど、中華はよく作るかも」 少し強引に軌道修正。 料理の話題に戻すと、再び霧切さんは目を輝かせた。 「へえ…少し、意外だわ」 「そう?適当に作っても味は整うし、逆に極めようとすればどこまでも行けるから、作ってて楽しいんだ。 小腹が空いた時にササっと出来るし、一品小物を加える時も冷蔵庫の残り物で出来ることも多いから、重宝してた。 あと、調味料が多いのも特徴で、自分なりにアレンジが加えられるのが…って、語れるほど上手いわけじゃないんだけど」 照れ隠しに頬を掻いて見せる。 と、霧切さんは身を乗り出して、 「…ねえ、今度御馳走してくれない?」 そんなことを言いだした。 「うええ!?いや、ホント人に出せる腕じゃないんだってば!」 「そんなに驚かなくてもいいでしょ。というか、味云々よりも、料理をする苗木君が見てみたいわ」 「や、やめてよ…」 本気で恥ずかしい。 何が恥ずかしいって、霧切さんが冗談じゃなく本気で言っている所だ。 彼女は本気で僕に料理を作らせて、その過程を眺めて楽しもうとしている。 「ねえ、良いでしょう?材料費は全部負担するし、雑用くらいなら手伝うから」 「そ、んな、別にいいって…いや、よくないけど…っていうか、もう僕の話は良いでしょ!」 今度はやや強引に、はっきりと話を打ち切る。 む、と眉をひそめられたが、さんざん聞いて満足したのか、今度は大人しく食い下がってくれた。 はあ、ようやくターンエンドだ。 このままずっと霧切さんのターンかと思ったけれど、まだ昼休みには余裕がある。 「じゃあ、今度は霧切さんの番だよ」 「…私?」 讃えていた微笑がふっと消えて、霧切さんが真顔になる。 う、やっぱり迫力というか、無言無表情の威圧感というか。 でも、僕ばかり質問されたなんて不公平だし。 「私の方こそ、人に話せるような面白い話はないわ」 「霧切さんの話がつまらないかどうかは、僕が聞いてから決めるよ」 と、意趣返し。 僕だって、やられっぱなしは好きじゃない。 挙げ足とられたのが気に食わないのか、霧切さんはますます眉をひそめる。 けれど、反論はしない。 好きに質問してくれ、ということだろう。 「じゃ、向こうにはどんな料理があったとか、こっちと比べてどっちが好きだとか、」 「――待って」 掌をかざして制止される。 「…苗木君。私はあなたから話を聞く時に、ハンバーグを一切れ差し出しました。わかるわね?」 「……、あ、うん。そうだよね」 こういう所で、変にきっちりしている。 意訳、話して欲しければなんか寄こしなさい。 まあ、そこまで乱暴な口ぶりでもないし、せせこましい人でもない。 たぶん彼女自身、同級生とこうやって昼食を交換したりするのを楽しんでいるんだろう。 僕だって、さっきは意識しすぎたけれど、こういうお弁当の交換みたいなのは好きだ。 さて、僕が口を付けてしまった親子丼を渡すわけにもいかないし。 飲み物でも買ってこようか、と、僕がポケットの小銭に手を伸ばしたのと、 何のためらいも無く霧切さんが親子丼の器に手を伸ばしたのは、ほぼ同時だった。 「え」 当然のように、さっきまで僕が使っていたレンゲを手に取り、親子丼を一掬い口に運ぶ。 ぱく。 もぐ、もぐもぐ…もぐ。 ごくん。 飲み下す音が、やけにリアルに耳に届いてきた。 「…む。丼ものは味が単一で大雑把な料理だと思っていたけれど…これは侮れないわね」 口端に付いた米粒を、ペロリと舌を出して舐め取る。 小さな舌、柔らかそうな唇。 レンゲと丼を返して、彼女はまた首をかしげる。 「…それで、何を話せばいいのかしら?」 親子丼がお気に召したのか、少しだけ上機嫌な霧切さん。 それに対して僕は、 「あ、あ…ぅ」 返ってきた器と霧切さんを交互に見比べて、まともに言葉を紡げない唇をひたすらに動かすのだった。 いくらなんでも、無防備すぎる。 年頃の女の子が、男子を相手に、そういうことを躊躇なくするなんて。 そう、注意しようとしたいのに。 僕の頭はまともに働かず、親子丼、だの、僕の、だの、意味を成さない単語を呟いてばかり。 それをどう勘違いしてしまったのか、 「…そんなに親子丼が惜しかったの?」 しょうがないわね、と、お姉さんのような口ぶりで、ハンバーグをもう一切れ、丼の中に入れられる。 そうじゃないのに。 いや、何もそれが悪いって言っているわけじゃなくて、嫌なんかじゃなくてむしろ――って、何考えてんだ。 霧切さんは、嫌じゃないんだろうか。 僕がそのまま、彼女の口を付けた食器を使っても。 彼女はさっきから全く意識していないみたいだけど、僕だって一応健全な男子高校生だ。 そういうの、意識しちゃうし。 どうしたの?と再三に首をかしげて――ああもう、反則だ、その仕種。 そういう表情をされると、こう悶々としていること自体がすごくいやらしいように思えてくる。 今からでも食器を変えてきた方がいいのか。 それでも、霧切さんは意識していないんだから、こだわる方が失礼かもしれない。 いや、でも、その、 「…苗木君。そのままボーっとしているのも私は構わないけれど、そろそろ昼休みが終わるわ」 「あぅ、……、…っと、うん…」 結論。 食堂が閉まる十分前で、彼女に諭されるまで悶々としていた僕は、 結局彼女に質問することも敵わず、次はちゃんと味わおうと心に決めていたハンバーグもろとも、 よく味の分からなくなった親子丼を、木製のレンゲで口に流し込むのだった。 ――――― 「…まあ、三流の恋愛ジュブナイルじゃあるまいし…神聖な学び舎でそんな喜劇、繰り広げないで貰いたいですわね」 「それなんてギャルゲ?ってやつですな。で、苗木誠殿…そのレンゲ、いやさ宝具は、今はどちらに保管を?」 翌日、食堂。 霧切さんとは入る時間がずれたため、今日は山田君とセレスさんの向かいに座っている。 別に昨日あんなことがあったから、意識して食堂に行くのを遅らせたとか、そんなことはない。 「…レンゲなら普通に返却したよ。食堂のものなんだから」 昨日のアレは、一般的に見てどうなのか、と。 第三者の意見を求めて、たまたま彼らが良い所にいたから尋ねてみただけ。 そう、それだけなんだ。僕に罪はない。 「か、返したですとぉ!?理解できん、自ら宝具を放棄して、どうやって聖杯戦争に勝ち残るつもりかぁ!! こ、これが勝者の余裕…ふぉおおリア充爆発くぁwせdrftgyふじこlp;@」 「うるさいですわ」 「ぶぎゅうっ…!!せ、セレス殿ぉおお…ピンヒールはさすがに痛いですぎゃああ…ぎゃああああああ…!!」 僕に罪はない。 罪はないが、今度から『一般的な意見』を求める時は、ちゃんと『一般人』に尋ねるようにしよう。 「…とにかく」 紅茶を啜りながら、セレスさんが話題を戻す。 優雅な所作だ。 隣で真っ青な顔で悲鳴を上げる山田君と、テーブルの下からの肉を抉るような音がなければ、尚いいんだけど。 「殿方の器から遠慮なしに料理を、しかも同じ食器を使い持っていくとは…女子にあるまじき、浅ましき行いですわね」 「…うん、隣にギョーザ定食がなければ、その女子力発言の説得力も五割増しなんだけどね」 「何か言い 黙れビチグソ ましたか?」 「いえ、別に」 セレスさんの副音声から耳を反らし、僕もお茶を飲み干す。 「んー…しかし、やはり苗木殿の考えすぎな気もしますな」 と、ピンヒールから解放されたのか、山田君が会話に戻ってくる。 「ギャルゲではフラグビンビンなイベントですが…特に気にする必要もないかと」 「あら、女子の食事中のマナーに目を配るのは、殿方として当たり前では?」 「む、それはそうかもですが…苗木殿が言っているのはマナー云々ではなく、その、間接キス的なことでしょう」 話展開がまずい方に及びそうだったので、それじゃ、と、僕は二人に礼を言い、早々に食堂を後にした。 とりあえず二つ分かったことは、僕がいちいち気にしすぎだということと、 一般人とは呼びがたい彼らの目から見ても、彼女の昨日のアレは、やっぱりちょっとおかしいということ。 「でも、うーん…なんか、気にせずにはいられないんだよね」 そう独りごちて、僕は午後の授業のため、教室へふらふら戻るのだった。 【続く】
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21話:可愛いは正義 朽ちた展望台を、馬に乗った少女、いや、馬と少女の二人が訪れる。 馬、アルジャーノンから少女、戸賀崎かれんがトカレフM1940自動小銃を携えながら下り、 銃を構えつつ展望台の入口へと近付く。 そして顔だけを少し出して展望台の中を覗き込む。 「!」 かれんが見付けたものは、血溜まりの中に倒れる赤い竜の死体と、 壁にもたれて座っている頭の辺りから血を流した犬獣人の少年だった。 「……君、大丈夫?」 「……誰?」 「私は戸賀崎かれん、殺し合いには乗ってないよ。 こっちの馬がアルジャーノンさん」 「こっちの馬って…まあそうだけど…大丈夫か? 怪我してるみてぇだが」 「は……はい……僕は久木山凌河……です……もうちょっとで動けるようになります」 「そう……これは……何があったの? 出来るのなら、話してくれないかな」 惨状を見てかれんが凌河に尋ねる。 「…そこで死んでいる赤い竜の人に襲われたんです……殺されそうになって……返り討ちに」 「君が殺したのか、じゃあ…」 「……はい」 「……殺されそうになったんでしょ? 余り気にしない方が良いよ…君も酷い怪我負ってるみたいだし」 「……」 「…なあ、かれん」 凌河には聞こえないぐらいの小さな声で、かれんの耳元でアルジャーノンが呟く。 「何?」 かれんもまた、同程度の声量でアルジャーノンに返事をする。 「この少年の言う事、全部信用するのか?」 「ど、どういう意味?」 「もしかしたらやる気になってて、俺達を騙してるのかも」 「えっ…そんな事…」 「あるから」 「でも、言ってる事が嘘だって決まった訳じゃないでしょ? 怪我して弱ってるし…放っておけないよ」 「まあ、なぁ……」 「あ、あの、僕、本当に殺し合いには乗ってないんです、殺されそうになったから、その、無我夢中だったんです、 信じて下さい…お願いします……」 二人が自分を疑っている事を勘付いたのか、 凌河は泣きそうな声で二人に訴えた。 獣人の少年の潤んだ瞳で見詰められかれんとアルジャーノンは心臓が締め付けられた。 同時に二人同時に同じ感情を抱く。 可愛い。と。 「……ごめんなさい、凌河君! 疑ってた訳じゃないの、ただこんな状況だから、 ちょっと用心してただけなの!」 「悪い許してくれ! 少し気が立ってただけなんだ! ごめんよ!」 「へ? あ、はい……」 突然泣きながら謝りだした二人に凌河は少し戸惑った。 そしてしばらくして凌河はゆっくり立ち上がる。 先刻受けた身体のダメージも大分回復し、どうにか行動出来るレベルになった。 凌河は二人に自分の父親の事を訊く。 「僕のお父さんもこの殺し合いにいるんです……久木山忠則って言うんですが、僕と同じ毛色で…見ていませんか?」 「見ていないなぁ……」 「見てねぇや……」 「そうですか…無事だと良いんですけど…」 「一緒に捜してあげるよ」 「ああ、旅は道連れ世は情けって言うし」 「本当ですか? ありがとうございます!」 少年らしい元気な声で礼を言う凌河に二人は再度「可愛い」と心臓を射抜かれる思いだった。 凌河は自身のもう一つの支給品であるシグザウエルP239自動拳銃を装備する。 そして先刻自分を襲った赤竜の持っていた散弾銃と予備弾も入手した。 「……武器屋がそう遠く無い場所にあるらしいぜ」 地図を見ながらアルジャーノンがかれんと凌河の二人に言う。 エリアC-3に確かに武器屋との表記があった。 現在いるエリアB-4展望台からは然程遠い場所では無い。 「武装は充実していた方が良いね、行ってみよう」 かれんが決定し、そして三人は武器屋に向かい始めた。 【早朝/B-4展望台出入口付近】 【戸賀崎かれん】 [状態]健康 [装備]トカレフM1940自動小銃(10/10) [持物]基本支給品一式、トカレフM1940自動小銃の弾倉(3)、長ネギ(3)、鍋の蓋 [思考・行動] 0:仲間を集めてこの殺し合いから脱出する。 1:アルジャーノンさん、凌河君と行動。 [備考] ※特に無し。 【アルジャーノン】 [状態]健康 [装備]無し [持物]基本支給品一式 [思考・行動] 0:殺し合いをする気は無いが、良い男がいたら掘りたい。 1:かれん、凌河と行動。 [備考] ※特に無し。 【久木山凌河】 [状態]全身打撲、頭部より流血(歩ける位には治癒) [装備]シグザウエルP239(7/7) [持物]基本支給品一式、シグザウエルP239の弾倉(2)、ウィンチェスターM1912(4/5)、12ゲージショットシェル(10)、 馬のペ*ス型ディルド [思考・行動] 0:お父さんを捜す。 1:戸賀崎さん、アルジャーノンさんと行動。 [備考] ※滅多な事では死にませんが、頭部を破壊されるか身体を焼かれるかすると死にます。 ※服を着てディルドを引き抜きました。 ≪支給品紹介≫ 【シグザウエルP239】 久木山凌河に支給。予備弾倉2個とセット。 シグザウエルP229の小型版で、主に護身用や警備用に用いられる。 本ロワに登場する物は.357SIG弾使用モデル。 前:痕跡を残すな 次:IMITATION 前:ある日森の中、お馬さんに出会った 戸賀崎かれん 次:未完成過ぎる奴ら 前:ある日森の中、お馬さんに出会った アルジャーノン 次:未完成過ぎる奴ら 前:UP TO YOU 久木山凌河 次:未完成過ぎる奴ら
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宮崎都は塚本天馬の死体から離れた後、一条かれん達が入った民家の近くにある民家へ入った。 近くとは言っても、ここは家と家との間が数メートルしか離れていないような住宅地ではなく、 農村とか漁村とかいった言葉が当てはまるような村だ。 一条かれん達のいる家からは、村役場を除けば最も近い民家でも、普通の住宅地で考えれば三軒分ほどの距離がある。 一条かれん達の様子を見張るには少し遠い気もしたが、他の家だとこの家よりも さらに離れた所になってしまうし、一条かれん達のいる家に最も近い村役場は、 建物自体が目立つので、中に潜むのに向いているとは思えなかった。 それに、離れているのも悪い事ばかりではない。 遠ければ、それだけ相手の様子は分かりにくくなるが、 もし、こちらが物音などを立ててしまったとしても、気付かれる危険は減る。 都には、自分の身体に付いた返り血を洗い流したり、多すぎる荷物を整理したりと監視以外にもやりたいことがあるのだ。 そんな考えから都が選んだ木造の二階建ての民家は、南側に大きな縁側があり、出入り口は引き戸で、庭には井戸があるような、全体的に造りの古い家だった。 玄関の鍵は開いており、難なく家の中に入ることはできたが、都は最初、この家に先客がいるのかも知れないと思って警戒した。 (いや、もし家の中に隠れるなら、鍵くらい閉めておくわよね) そう考えると、この家の戸はたまたま開いていた可能性の方が高いように思えた。 とはいえ、誰かがこの家の中にいる可能性もゼロではないだろう。 (一応、調べてみるか) 都は家の中に入り、ここまで運んで来た重たい荷物を下ろすと、銃を構えて玄関に近い部屋から順番に家の中を見て回った。 客間、居間、台所、寝室、浴室、トイレ……、特に人影は見当たらないし、さっきまで人がいたような様子も無い。 「ん?」 そうして都が家の中を調べていると、家の外からかすかに男の叫び声が聞こえた気がした。 「……何?」 今、人の声が上がるとしたら、一条かれん達のいる家からだろう。 そう思った都は、声の正体を確かめるべく、かれん達が居る家が見える部屋まで行き、 窓からそちら側の様子を見てみたが、この窓からは目的の家は見えても、 その家の中で何が行われているのかまでは分からなかった。 (やっぱ、見張るには遠すぎたか?……まぁ、近くても家の中は見えないか) たとえもっと目的の家に近くても、家の中の様子までは分からないだろう。 そう思った都は、とりあえず中の見えない家を眺めることをやめ、今、自分がいる家の中の探索に戻ることにした。 探索のついでに、都は電気ストーブをつけようと試みたり、水道の蛇口をひねってみたりしたが、どちらも使えなかった。 どうやら、電気と水道は止まっているようだ。 (水道が使えないのか……、身体、洗いたいんだけどな) 全ての部屋を慎重に調べ終え、この家の中には誰もいないことを確認した都は、 次に、身体に付いた返り血を洗い流すことを考えた。 最初は、この家にある浴室を使わせてもらうつもりだったのだが、浴室の水道も使えなかったので、それはできない。 (そういえば、外に井戸があったな……) そこで都は、この家に入る前に横目で眺めた井戸のことを思い出した。 井戸を見つけたその時は、使おうだなんて思いもしなかったが、 水道が使えないと分かった今では、事情が違う。 そこで、都は外に出て、まずは井戸が使えるかどうか確認することにした。 それは、つるべ式のいかにも古そうな雰囲気の井戸だったが、中は枯れておらず、底にはちゃんと水が溜まっている。 試しに都は、一度水を汲み上げて、使える水かどうかじっくりと観察してみた。 (うーん、キレイだと思うけど……) つるべに括りつけられたバケツの中に汲み上げられた水は、特に濁っていたりはせず、少なくとも都の目には綺麗に見えた。 (変なにおいもしないし、まあ、身体を洗うくらいには使えるか) 飲めるほど綺麗な水なのかどうかは分からなかったが、身体を洗うのには問題ないだろうと、都はそう判断した。 飲み水ならば、ここまで運んできたデイバッグに水の入ったペットボトルが大量に入っている。 都、播磨、沢近、世界の4人分。都自身よくここまで運んで来たなと思うほどの量だ。 なので、この井戸の水を飲む必要はない。 (よし!) この水で身体を洗うことにした都は、そのための準備に取り掛かることにした。 □ □ □ 阪東秀人が加東秀吉との喧嘩を終わらせ、美浜ちよ、一条かれん、赤坂理子の三人が いる部屋に戻った時、三人はそれぞれがこの島で目覚めてから、今までの経緯を教え合い、 さらにかれんと理子は、自分たちが目指すプログラム終了条件を、ちよに話したところだった。 「あ、阪東さん」 「ん?もう目ぇ覚めたのか」 阪東の姿を見るや、ちよはとててっと坂東の傍に寄って行った。 どうやら、ちよは島で最初に出会ったこの男に、だいぶ懐いてしまったようだ。 それはちよ自身、自覚はしていないだろうが、今回のプログラム参加者の中で最年長である 阪東の側が最も安心できると、この数時間で直観的に感じ取ったからかもしれない。 「あぅ、阪東さん……、痛そうです」 先ほどの秀吉との喧嘩で、阪東の顔にはいくつもの痣や腫れができていた。 阪東達の鈴蘭高校では日常茶飯事なことだが、ちよの今までの生活では、 こんな怪我にお目にかかることは、そうそうない。 「フン、こんなもん何でもねー」 「でも……」 そう返す阪東だったが、ちよは涙目で坂東を見つめ、相変わらず心配そうな顔をしている。 「あらら、まずは話がしたかったけど、その前に手当てをした方が良さそーネ」 そんな阪東とちよの様子を見ていた理子は、ちよ達に歩み寄ると、 ポンッとちよの頭に手を乗せて微笑みかけながらそう言った。 「エート、それで阪東サン、カトーくんは?」 「あの小犬なら、向こうでおネンネだ」 あの騒ぎの後、阪東だけが戻ってきたということは、そういうことだ。 「どーせ、カトーくんも怪我してるのよね?」 阪東は無言だったが、これは肯定と見ていいだろう。 それを見て、理子は一つため息をついた。 「ふぅ、いいわ、確か村役場に救急箱があったから、チョット取って来るわね」 理子は村役場でかれんを待っている間に、暇だったので村役場の中をいろいろ調べて回り、 救急箱など、備品の場所を確認おいた。 この民家にも、探せば救急箱くらいあるかも知れないが、既に有りかが分かっている所から 持ってきた方が確実だろう。 考えてみれば、こちらの民家に移る時に救急箱くらい持ってくればよかったのだが、 あの時にはメモを残したりしていて、忘れていたのだから仕方がない。 「あ、それじゃあ私も行きます」 そう言って立ち上がったのは、阪東が戻ってきてから今まで黙っていたかれんだ。 「え?」 救急箱を取ってくるくらいで、そんなに人手も要らないだろうと思った理子が聞き返すと、 かれんは少しうつむきながら続けた。 「あの、塚本さんを……」 「あ……」 その一言で、理子は大体の察しがついていたが、一応詳しく聞いてみることにした。 かれんは、天満の事を野晒しにならないようにと、この民家の前まで背負ってきたわけだが、 知らない人の家に死体を上げるのも何だか気が引けて、今は玄関先に座らせている。 だが、いつまでもそのままというわけにはいかないので、村役場に天満を運んで寝かせてあげたいらしい。 公共の施設ならば、知らない人の家よりもかれんの気が楽ということだ。 「そうね、だったら一緒に行きましょ。アタシも手伝うわ」 「あ、はい、ありがとうございます」 「それじゃあ、ちよちゃん、阪東サン、チョット待ってて」 元々は村役場が集合場所だったのだから、全員でそちらに戻ってもよかったが、 秀吉が気絶したままなので、今はどちらにしても救急箱を持って来るのがいいだろう。 こうして、理子とかれんは二人でドアから出て行き、部屋には阪東とちよが残された。 「オイ、ちよ」 「はい?」 二人が出て行ってから、阪東はちよに声をかけた。 自分がいない間、ちよが理子達と何を話していたのか確認しておこうと思ったのだ。 「アイツ等とは……、何ニヤニヤしてんだ?」 しかし、そこでなぜか笑顔になったちよが気になり、阪東はついそんな事を訊いてしまった。 「えへへ、ごめんなさーい。 阪東さんが、名前で呼んでくれるようになったのがうれしくてー」 「あぁ?」 確かに、出会ってからしばらくの間、阪東はちよの事を「お前」としか呼んでいなかったが、 いつの間にか、普通に名前で呼ぶようになっていた。 「そんなことで、か?」 「はい!」 思わず聞き返した阪東にちよは笑顔で答えると、また「えへへ」と笑った。 「…………チッ」 思わず出た阪東の舌打ちは、ちよの笑い声でかき消された。 (さっきまで、涙目だったクセに) だが、プログラムという絶望的な状況の中でも、こうした小さい事を見つけて笑えるのは、 ある種の才能であり、強みかもしれない。 この小さな子供も、かれんや理子のような強さとは違うが、ただ弱いだけ人間ではないようだ。 笑顔のちよを見て、阪東はそんな風に思った。 □ □ □ 「……あれ?」 「かれんちゃん?どうしたの?」 かれんと理子の二人が、天満を運ぶために民家の外へ出て天満の死体を見たその時、 かれんが不思議そうな声を上げた。 「塚本さんのリボンが無いんです……」 そう言って、かれんは自分の制服のリボンを指さしながら「こういうリボンを付けていたはずなんでけど……」と続けた。 「どこかで落しちゃったのかな?ここに来たときは塚本さんのリボン、ありましたっけ?」 「うーん、チョット覚えてないわ」 かれんも理子も、天満がここに運ばれたときにリボンをつけた状態だったかは、覚えていなかった。 天満のリボンがいつ無くなったのかは分からなかったが、しかしだからと言って、このままずっと止まっている訳にもいかない。 無いものは仕方がないと諦め、かれんは、外に出る前にあらかじめ濡らしておいた ハンカチを取り出し、天満自身が吐いた血で汚れてしまっていた天満の口元を拭いた。 「塚本さん、今まで待たせてしまって、ごめんなさい」 「…………」 もちろん、天満は答えない。 理子は、かれんに何か言葉をかけようと思ったが、 その前に、かれんの方が理子に向き直った。 「さあ、理子さん。塚本さんを運びましょう」 「え、ええ、そーね」 そうして、かれんと理子は二人掛かりで天満を村役場に運び込むと、とりあえず待合室の長椅子に寝かせた。 「ふぅ…、えっと、運んで来たのはいいですけど、どこに寝かせてあげましょう? ここでは、いくらなんでも……」 「そうね、向こうの応接室に大きなソファがあったから、そこに寝かせてあげましょ」 かれんのいない間に、村役場の間取りをほとんど覚えていた理子の提案で、 二人は天満を応接室まで運び、そこにあった大きなソファに天満を寝かせた。 その後、かれんはここまで運ぶ間に少し乱れてしまった天満の身なりを整え始め、 一方、理子はもう一つの用事を済ませるべく応接室を出ることにした。 「それじゃ、アタシは救急箱を取って来るわネ。すぐだから、少し待ってて」 「はい」 本当は、理子もこのまましばらくかれんのそばに居てあげたいところだったが、 民家に残してきた怪我人どものことを、放っておくわけにもいかない。 「……」 そうして部屋に残されたかれんは、理子が戻ってくるまでの間、 ずっと天満の顔を見て過ごした。 生前、天満はいつでも、居眠りしている時でさえ表情豊かで、 かれんは天満のこんな無表情な顔を今まで見たことが無かった。 そんな天満が、もう二度と表情を変えることはないのだと思うと、 もう散々泣いたかれんだが、再び胸にこみ上げて来るものがある。 「……塚本さん」 天満には、いつも一緒に行動する仲良しグループがあり、 かれんはそのグループの一員というわけでは無かったが、 それでも、例えばかれんが同じクラスの今鳥恭介と初めてデートをした時などは、 何かと世話を焼いてくれるなど接点は多く、親友とまではいかないまでも、 かれんと天満は十分に仲の良い友達だった。 そんな友達の死を、そう簡単に受け入れることはできない。 「お待たせ、かれんちゃん」 理子は自分で言った通り、救急箱を持ってすぐに応接室に戻って来た。 「あ、理子さん……」 そんな理子が目にしたのは、天満の横で泣きそうな表情をしているかれんだった。 (かれんちゃん……) そんなかれんの表情を見た理子は、持ってきた救急箱を足元に置くと、 そっとかれんの横に座った。 「かれんちゃん、まだツライ?」 「……いえ、大丈夫です」 そう答えたかれんだったが、心配をかけまいと無理をしているのは明白だ。 理子は、そんなかれんの肩に手をかけると、自分の方へ引き寄せた。 「無理しないで、ツライときはツライって言って。こんな時だもの、助け合いましょ」 理子は天満を運んでいるとき、もしこれが良クン、田村良だったらと想像していた。 放送で彼の名前を聞いただけでは、まだあまり実感が持てずにいるが、 こんな風に死体に触れることになったら、自分はどうなってしまうだろうか? きっと後先考えず、周りも気にせずに泣いてしまうのではないか? もちろん、かれんと天満の関係は、理子と良の関係とは違ったものだろうが、 しかし、友達を失った悲しみがそれほど違うとは思えない。 だからなのか、理子には今のかれんの気持ちが何となくわかる気がした。 「理子さん……」 理子に抱き寄せられ、少しキョトンとしていたかれんだったが、 理子の鼓動と体温を感じ取ると目を閉じ、どこか安心したような表情になって、 そのまま理子の方へ体を預けた。 「ヨシヨシ」 理子は、そんなかれんの頭を撫でながら、かれんの気が済むまでそうしていようと思った。 「…………はぁ、もう大丈夫です」 かれんは意外に早く立ち直ると、少し恥ずかしそうにしながら理子から離れた。 「もう、イイの?」 そう言った理子だが、かれんの様子は確かに理子から見てもだいぶ落ち着いて見えた。 目つきはしっかりとしているし、呼吸も、姿勢も、立ち振る舞いも、理子がはじめに出会ったときに感じた強さが戻っているように思える。 「はい、早く皆さんのところへ戻りましょう」 「うん、でも苦しいときは言って。アタシの胸くらい、いつでも貸すから」 「あ……はい!」 こうして、二人は阪東達の待つ民家へと戻るため、応接室を出た。 部屋を出る時、かれんは最後にもう一度だけ振り返り。 ソファに寝かせた天満に、心の中でお別れを言った。 民家に戻ると、理子は阪東達のいる部屋に勢いよく入っていった。 「ホラ、救急箱持ってきたわよ。サッサと手当てしちゃいましょ」 「チッ、しょーがねーな。よこせよ、自分でやる」 「いーからアタシに任せて。こーゆーの、慣れてるから」 戻って来た理子に向かって、阪東はいかにも面倒くさそうな表情を浮かべながらも、 救急箱を受け取るべく手を出した。 しかし、道場の練習生が怪我をした時など、他人の手当てをする機会の多かった理子は、 自分がやった方が早いと、半ば強引に阪東の手当てをし始めた。 最初は自分でやると抵抗した阪東だったが、ちよやかれんにも勧められ、 結局、最後は阪東の方が折れた。 (クソッ、調子が狂う……いや、オレが年食ったのか……) 今まで、阪東の周りには、こんなに強引な女はいなかった。 しかし、狂犬だったころの阪東であれば、いくら相手が強引でも、 自分の方が折れるということは無かっただろう。 そう考えると、自分の年を感じてしまう阪東だった。 「それで、阪東サンに聞きたいんだけど……」 阪東がそんなことを考えていると、理子が手当てをしながら話しかけてきた。 「まずは自己紹介からかしら?」 「いや、大体ちよから聞いた」 阪東は、理子とかれんがいない間にちよと話し、理子とかれん、ついでに秀吉に関して、 ちよがわかる範囲の事をほとんど聞き出していた。 そういう事ならと、理子は自己紹介を軽めに済ませ、本題に入っていった。 「それで、阪東サン達がかれんちゃんと別れた後、そっちでは何があったの?」 まず理子が何があったか尋ねると、坂東は「ちよにどこまで聞いた?」と返した。 「えっと……ヨシ!完成!」 しかし、理子の口から発せられたのは、坂東への返答ではなく、手当て完了の掛け声だった。 この赤坂理子という女、なかなかマイペースな性格のようだ。 「これで大丈夫だと思うけど、あんまり激しく動いちゃダメよ」 「…………」 「私たちがちよちゃんから聞いたのは、 銃声のした方へ行くと地面に血が……というところまでです」 そんな調子の理子に代わり、阪東の質問には手当ての手伝いをしていたかれんが答えた。 「あら、ゴメンナサイ。そうそう、そこまで聞いたワ」 「ああ」 それを聞いて、阪東はそこで見た光景を思い出すと、理子とかれんにそこであったことを話すべく口を開いた。 「そこにあったのは……死体だ」 「そんな……」 「……そう」 理子もかれんも、ちよの話を聞いたときから予想はしていたが、 直にその言葉を耳にすると、やはりショックだった。 かれんは息をのみ、理子は残念そうに肩を落とした。 「黒い制服の、女の死体だったな……で、その死体なんだが」 「ひっ……あ……」 「ちよちゃん?」 阪東がその死体の事を詳しく語ろうとしたとき、かれんはちよの様子がおかしい事に気付いた。 「あ、そうだ理子さん。救急箱貸して下さい。私、加東くんの手当てをしておきます。 ねぇ、ちよちゃんも手伝ってくれないかな?」 「そーね、それがいいわ」 考えてみれば、ちよはそのときのことが原因で気絶したのだ。 彼女にとってトラウマになっているかもしれない事を、本人の目の前で話すことはない。 かれんは、秀吉の手当てを口実にちよを隣の部屋へ連れて行くことにし、 理子もそれに賛成した。 「すいません…、そうします」 「うん、それじゃあ行こう」 そうして、阪東の話は理子が聞いておくことにして、かれんとちよは救急箱を持って、秀吉のいるリビングへ移った。 「ごめんなさい阪東サン、それで……その死体っていうのは?」 「ああ」 そして部屋に残った理子に促され、阪東はその場所で見た、思い出すだけでも気分が悪くなる惨状について、詳しく語ったのだった。 「……そんなことって」 話の雰囲気やちよの様子から、それがただの死体ではなかったのだろうということは 理子も予想していたが、どうやらその死体の様子は理子の想像以上だったようだ。 「ところで…だ」 阪東は、そんな理子の様子をあえて無視し、話を先に進めた。 元々阪東は相手を気づかうようなタイプでも無いし、ここまで話をしてみて、 この女なら、多少のショックは引きずらないだろうと思った。 「お前ら、時間切れ狙ってんだってな?24時間死人が出ないってのを」 「え、ええ……」 「だったら、まずアレをやったヤツをどうにかしねーとダメだな。 でねーとこの先、死人は増える一方だろうよ」 □ □ □ 一方、阪東達の間で話題のアレをやったヤツこと宮崎都は、かれん達を監視するために選んだ民家の浴室で身体を洗っていた。 水道が使えなかったので、使っている水は先ほどの井戸の水だ。 外は日が当っているとはいえ、少し風もあって寒いし、万が一、 身体を洗っているところを誰かに襲われたらと考えると、外で身体を洗うのは、 非常に危険な事に思え、わざわざ井戸で汲んだ水を浴室まで運んで使っている。 井戸の水を、この家にあったバケツや桶に入れて浴室に運ぶ作業はかなりの重労働だったが、 都も、伊達に剣道部に入ってから走り込みをしたり、立てなくなるまで素振りさせられたりしていたわけではない。 そのくらいの事ができる体力はついていた。 (そういえば、あたし、全然監視できてないな) この家を選んだのは、身体を洗ったり、荷物を整理したりするほかに、 一条かれん達を監視するためでもあったわけだが、この浴室からは向こうの様子は見えないし、 その前も家の中を確認したりしていて、都はかれん達がいる家から目を放しっぱなしだ。 (やっぱり、直接乗り込まないと駄目ね) 他校の生徒と合流しているところを見ると、一条かれん達は殺し合いに乗っているとは 思えないし、無害を装って近づけば、恐らく受け入れてくれるだろう。 ザバァ 都はそこまで考えると、冷水を一気に身体へ浴びせた。 井戸から汲んで来た水は、興奮状態で火照っていた都の身体を冷まし、 同時に、高ぶっていた気持ちを落ち着かせてくれる。 (ふぅ……) そうして落ち着きを取り戻していった都は、この島で目覚めてから今までに体験したことを順番に思い返していった。 まず、はじめに思い出すのは最初に出会った男、播磨拳児のことだ。 彼は、都が初めてその手で命を奪った人間でもある。 好きな子の事だけを想い、それ故に冷静さを失って空回りし、 最期はあっけなく崖下へと落ちて行った。 播磨を殺したことで、都はもう人を殺す事に対する迷いは無くなったと思った。 しかし、その次に出会った沢近愛理と西園寺世界の二人組のうち、 沢近愛理に銃を突きつけた瞬間、都は引き金を引くのを一瞬躊躇してしまった。 都が播磨を殺したときは、ただ崖から突き落としただけで、 実際に、生きた人間が死体に変わるその瞬間を見届けたわけではない。 この時点の都は、まだ覚悟が十分ではなかったのだ。 結局、それだけが原因ではなかったが、沢近愛理には逃げられてしまった。 今後も同じような事があるようでは、きっと優勝なんてできっこない。 そう思った都は、逃げ遅れていた西園寺世界を徹底的に嬲り殺しにした。 元々Sっ気のある都だが、何も好きで西園寺世界をそんな風に殺したわけではない。 今後、同じような事があっても、もう二度と人を殺すことを躊躇しないように、 人の命が消え行く様を実感しながら殺したのだ。 もしかしたら、多少は趣味もあったかも知れないが……。 (おかげで、次は迷わず人が殺せそうよ) そして、完全に覚悟を決めた後に見つけた男女の4人組みだ。 その内の二人は、播磨拳児や沢近愛理と同じ矢神学院高校の一条かれんと塚本天馬だった。 その時は分からなかったが、塚本天馬はどうやら、この時点で死んでいたようだ。 少し様子を伺っていると、その4人(死体を人数に数えなければ3人)は二手に分かれ、 都は播磨や沢近と同じ学校の天満とかれんが気になって、そちらを尾行した。 途中で放送が流れたが、一条かれんはその間も歩き続けていたため、 都も禁止エリア以外は特にメモせず、後を追った。 都にとっては、彼氏の段十朗を含め室江の仲間が無事だった事が分かれば、 このときは禁止エリア以外、特に興味が無かったのだ。 一条かれんは待ち合わせをしていたらしく、村役場近くの民家で仲間が待っていた。 そしてかれんは、その仲間達と合流して民家へ入って行き、都はその民家を監視するためにこの家に来たというわけだ。 全然監視できていないのが現状だが。 (そういえば、もう10人死んでるんだな……) この島での自分の行動を振り返った後、都は放送の内容で気になったことを思い返した。 半分くらいは聞き流していた放送だったが、今までに10人の死者が出ているという点は少し気になる。 その10人の内、都が分かっているのは自分が殺した播磨拳児、西園寺世界の2人と、 自分が見つけた時には既に死んでいた塚本天馬の計3人だ。 塚本天馬の死因は、後であの集団に接触したときに聞くとして、10人の内の残り7人は、 そのすべてが自殺や、誰かひとりの殺害数などということはないだろう。 すると、都以外にも殺し合いに乗ったものが、恐らく複数いるということになる。 (早くダンくんを見つけないと……) 最初の放送では名前の呼ばれなかった彼も、この先ずっと無事とは限らない。 殺し合いに乗る者がどれだけいるのか分からなかった放送前よりも、 自分以外に、殺し合いに乗った者がいるということがハッキリした今の方が、 早く彼氏の段十朗を見つけたいという気持ちは、大きくなっていた。 都にとっての最優先事項は、『段十朗と一緒に生きて帰る』ことなのだから。 (よし、キレイになった) 身体を洗い終えた都は浴室を出ると、あらかじめ灯油ストーブを準備しておいた部屋に入り、 ストーブにあたって、冷水で冷えた体を温めた。 (あー、寒かった。やっぱ冬に水で身体洗うとか無いわ……) すっかり冷えてしまっていた身体が温まっていくのを感じ、都は生き返る心地だった。 (あ、着替え着替え) そうして人心地ついた都は、次に着替えを考えた。 今の都は、この家にあったバスタオル1枚という格好だ。 幸いこの家には、歳は都よりもずいぶん上だろうが、体格は都と大体同じくらいの 女性が住んでいたらしく、都は着られそうなサイズの女物の服をいくつも見つけていた。 (うーん、何を着よう?) まずは、改めて今まで着ていた室江高校の制服を確認してみる。 ブレザーやブラウス、リボンなどの上半身に着ていたものは、どれも血塗れで、 とても着られそうにない。 反面、下半身に着けていたスカートやソックスは、大した汚れも無く綺麗なものだ。 これなら、引き続き着ていても問題はないだろう。 (じゃあ……、これと、これかな) そうして都は、この家で見つけた服の中で、今まで着ていた制服のブラウスとそう違わない白のブラウスを着て、制服のスカートをはいた。 そして最後に、同じくこの家で見つけた女物のダウンジャケット羽織り、着替えは完了だ。 (よし、あとは荷物の整理をしたら……、いよいよね) 都は荷物を整理した後、一条かれん達と接触するつもりだった。 作戦は、先ほど考えた通り。 まずは殺し合いに乗っていない風を装って接触し、そして必要な情報を聞き出した後は、殺す。 それが、都の考えだ。 しかし、それには一つ確認しておくことがある。 既に二人も人を殺めてしまった自分が、今さら無害なフリを出来るだろうか? それを確かめるため、都はその部屋にあった姿見に向かって笑顔を作ってみることにした。 (ダンくんの事を考えれば……) 段十朗との楽しい日々を思い出しながら、また、そんな日々を取り戻すために、 都は鏡に向かって微笑んだ。 「ダンくぅ~ん」 その鏡には都自身も驚いたほどの、とびっきりの笑顔が写っていた。 □ □ □ かれんとちよが、リビングで気絶していた秀吉の手当てを済ませた頃、 一通りの話を終えた阪東と理子も、リビングへとやって来た。 秀吉は、かれん達が手当てをしている間も目を覚まさず、今も眠り続けたままだ。 「どう?カトーくんは」 「はい、まだ起きないですけど……ちよちゃんも手伝ってくれて手当ては終わりました」 「そう、エライわ、ちよちゃん」 「いえ、私にはこのくらいしか出来ませんから…」 女子三人がそんなやり取りをしていると、阪東が「オイ」と、かれんに声をかけた。 「オメーが持ってた銃、弾はあんだろ?いつでも撃てるようにしておけよ」 「え?」 「チョット!いきなり言われても分からないわヨ」 何の説明も無しにそんなことを言いだした阪東をたしなめながら、理子は軽く阪東を睨んだ。 「それに、決めるのはかれんちゃんだから!」 「フン」 「それじゃ、アタシが説明するから……かれんちゃん、こっちに来て」 「あ、はい」 理子は、ちよの方をチラッと見るとかれんの手を引いて部屋を出て行った。 そうして、阪東とちよは二人、いや、気絶中の秀吉を含めると三人でリビングに残された。 「あのー、阪東さん、どうしてあんなことを?」 理子達が出て行くなり、ちよは阪東に尋ねた。 あんなことというのは、銃の事だろう。 「殺し合いに乗ったヤツが、近くにいるかもしれねーんだ」 阪東は心の中で、(相当やばいヤツがな)と付け加え、「しかも、そいつは銃を持ってやがる」と、続けた。 「そう、ですか……」 「ああ」 それっきり黙ってしまったちよに、今度は阪東から話を振った。 「アイツ等の言ってた事だがな……」 「え?」 「時間切れなら、首輪が爆発しないってのは、あると思うか?」 「えっと……」 阪東は、その話を聞いたときから、そんなことはまずあり得ないだろうと考えていた。 その考えに、阪東はほとんど確信を持っているのだが、軍はそんなに甘くないだろうとか、 そういった、ある種勘のような考えでしかなく、その理由がハッキリしない。 そこで、ちよならば違った視点から、この事に関して答えを出せるのではと思ったのだ。 「それは…無いと思います」 少し残念そうに、だがしっかりとちよは自分の意見を述べた。 「なんでそう思う?」 「プログラムは……軍が行う戦闘シミュレーションと言う事になっていますけど、多分、他の目的もあると思うんです」 「どういうことだ?」 ちよは飛び級で高校に入学するほど学業において優秀であり、社会科の成績も良い。 そんな彼女は、当然プログラムに関する知識も一通り頭に入っており、 それを元に、表向きは国防上必要な戦闘シミュレーションという事になっているプログラムの、 別の狙いを考察することもできる。 「例えば…恐怖政治です。えっと、この国で政府に反対することは命がけですよね」 「ああ」 「しかも、本気で政府に反対しようとしたら、たくさんの人が団結しないといけません」 「だろうな」 ちよの言っている事は分かるが、それがプログラムの時間切れにどう繋がるのか分からない阪東は、適当に相槌を打って先を促した。 「それでプログラムですけど…プログラムで優勝者が出たということがニュースで流れたら、それを見た人はどう思うでしょう? 人は命がかかると、子供同士でも殺し合いをするんだなって思うんじゃないでしょうか? 一度そう思ってしまうと、完全には他人を信用できなくなると思うんです。 そうしたら、政府を相手に命がけで一致団結なんて、きっと出来なくなってしまいます」 「ほう」 話が進むにつれて、阪東は少しずつちよの話がつながってきたように感じた。 「もし、そういうことが政府の狙いだとしたら、プログラムではまず、優勝者が出ることが 重要なんです。一条さんたちの言っていた、死の恐怖に負けず、見ず知らずの他人を 信じるっていうのは、たぶん、政府の狙いと逆で…、だから、時間切れでみんなが 助かるとゆーのは、ちょっと……」 「なるほどな」 「優勝者が出なかった場合に失敗としてあつかわれてニュースにならないのは、 最期まで他人を信じてしまった結果ですから、それは政府にとって都合が悪いんです。 だからニュースにならないんだと思います」 ちよの話は阪東には少し回りくどく感じたが、プログラムとは政府が行う恐怖政治の 一環だと考えると、他人同士が殺し合いをするということそのものが重視されるはずで、 それとは逆の生還方法があることは考えづらいということだ。 「お待たせ、ちよちゃん、阪東サン」 「お待たせしました」 「あ、おかえりなさいー」 阪東とちよがそこまで話したところで、阪東達がいるリビングの扉がガチャっと開き、 理子とかれんが戻って来た。 「戻ったか。で、お前らどーする事にしたんだ?」 「そーね、かれんちゃん」 「はい」 理子に促され、かれんは自分の考えを話した。 「事情は分かりました。この近くに危険な人がいるかもしれない。 だから、銃が必要になるかも知れない……」 「そうだ」 「でも……、銃に弾を入れるのは、駄目です。私は…その人も説得したいですから」 「チッ」 どんな相手でも傷つけたくないと言うかれんの言葉に、阪東は思わず舌打ちをした。 (あんな事ができるヤツを説得だと?) 直接あの惨状を見た阪東には、それはあまりにも無茶な理想論に思えた。 しかし、直接死体を見ていないかれん達には、それが分かっていないのかもしれない。 阪東とかれん達には、その死体を作り上げた者に対する考えに、明らかな温度差があった。 「そうかよ」 阪東はそう言うと、自分の荷物だけを持って部屋を出て行こうとした。 「え、待って阪東サン、どこに行くの?」 それを理子が慌てて呼び止めると、阪東は首から上だけ振り返って答えた。 「これからどーするか考える。少し独りにさせろ」 阪東は、かれん達の考えには賛同できない。 しかし、殺し合いに乗らないという点においては、阪東もかれん達も同じだ。 わざわざ敵対関係になることも無いだろう。と、そこまでは考えた。 しかし、その先の考えがまとまらない。この理子という女が側にいると、どうも調子が狂う。 それに、この島のホテルで目覚めてから今まで、ずっとプログラムからの脱出についても考えてはいるが、未だその糸口さえ見つかっていない。 ガラじゃあないとは思うが、一度ゆっくり考えをまとめたかった。 「ついでに、その辺見回って来るつもりだ。一応、他の鈴蘭の連中も探さねーとな」 「でも……」 「心配すんな。次の放送までには戻ってきてやる」 そう言って今度こそ出て行こうとした阪東の、今度はちよが呼び止めた。 「ま、待ってください。あの、私もついて行っていいでしょうか?」 「なに?」 「え、ちよちゃん?」 「危ないわヨ。ここに居た方が……」 同行を申し出たちよに、阪東を含めた3種類の声が答える。 「私も、同じ学校のみんなを探したいですから。 それに阪東さん、言いました。考えるのは私だって」 「……フン、そうだったな。好きにしろ」 かれんと理子は反対したが、一度言い出したちよは頑固に自分の意見を曲げず、 結局は本人の意思を尊重することとなり、阪東とちよは二人で民家を出て行った。 「……行っちゃったわね」 「はい……」 理子とかれんは少しの間、あの二人を心配する言葉をかけ合っていた。 もし、二人が次の放送までに戻らず、さらに放送で名前を呼ばれたりしたら、 理子とかれんは悔やんでも悔やみきれないだろう。 「でも、戻ってくるって約束してくれましたし」 「まあ、カトーくんはここに残ったままだし、きっと戻ってくるわよね。 ……それで、これからどうする?」 「私は……また他の人を探しに行こうと思います」 「わかった、アタシはまた待っていればイイ?」 「はい、お願いします」 かれんは、再び人探しをするため、天満と一緒に持ってきた3つのデイバッグのうち、 自分の分1つだけを持って立ち上がり、理子も、そんなかれんを見送るために腰を上げた。 「それじゃあ、いってきます」 「ウン、いってらっしゃい」 そうして、玄関へ移動した理子とかれんがあいさつを交わしドアを開けた瞬間、 二人とは違う女の子の声が上がった。 「きゃ!」 「え?」 「あ……」 かれんが開けたドアの外には少女が一人、立っていた。 「……」 「……」 「……」 少しの間、沈黙がその場を支配した。 その沈黙を最初に破ったのは理子でもかれんでもなく、ドアの外に立っていた少女だった。 「はじめましてー、宮崎都です」
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店名リスト 不二(喫茶&和洋の軽食、★★、国際センター駅北東5分) チャオ(スパ・パスタ、★★、菱信ビルB1F etc) 鮪小屋本店(丼物・おつまみ、★★、ユニモール etc) 矢場とんエスカ店(とんかつ、★★、エスカの最北) UCC Cafe Plaza(喫茶、★★、ユニモール) 六行亭(名古屋コーチン、★、エスカ) カトレヤ(喫茶・軽食、★、ユニモール) 五右衛門(パスタ専門店、★★、ユニモール) 浜寿し(寿司、★、ユニモール) 少し頑張ってるレビュー 不二(喫茶&和洋の軽食、★★、国際センター駅北東5分) 『和風ハンバーグステーキ @1200』を注文 純粋に旨かった。その一言でまとめるのが一番かな。もうね、俺なんかが解説すると価値が落ちそう、その目で見て味わってこいって感じ。 でも少しだけ語ります。ハンバーグは豆腐:ミートを1:1にでもしたのかな?普通のより柔らかく、味もくどくない仕上がりでした。それに刻んだ青しそ&大根おろしを大量にのせていて、なかなかいい(゜∀゜)b コーヒーは香りがよく、苦味が少なめ。普段はあまりコーヒーを飲まない自分でも、フレッシュ少々で美味しく味わえた。 マスターがいわゆるセレブ系なので店の内装、使用している食器類もおしゃれです。流れている音楽が懐かしい洋楽が多く、ほのぼのしながら過ごせましたね。この界隈は店のレベルが高いと言われるが、その噂に恥じない店だと思いました。 その他メニューは、1200円ドリンク付きセットものが『ざる豆腐御膳』をはじめ数品、揚げ餅・ぜんざい・いそべ巻きのような甘味が大体550円、コーヒー・紅茶などドリンクは350円。 店へのマップ。●●のついでって感じで行ける場所じゃないね(´・ω・) 店の外観。結構分かり難いかもね(汗)。この辺りは土蔵や長屋を利用した店が多いですよ チャオ(スパ・パスタ、★★、菱信ビルB1F etc) 『豚キムチスパ(ジャンボ)@850』を注文 とりあえず量が凄い。持ち上げると重い。さすがジャンボ。具材が少なすぎるとも感じず、最後まで自分の思うように調節できた。味の方も悪くなく、最後まで食べきれる無難な味。ただ、ある程度のこだわりを持っているならやや不満か?それでも値段と量を含めて考えると十分に満足できる。手頃の例としてマウンテンの質を上げた感じ。 なお、スパの量はスナック(200g)、レギュラー(330g)、ジャンボ(480g)の3種からスパの量を選択でき、スナックの平均価格は660。値段のランク差は70円で一律固定。いつの時点での重さか分からないが、恐らく茹でる前。 店内は仕切りなど一切無しのオープンタイプ。場所は少々分かりにくいかも? 店の場所などについては、多すぎるのでこちらを参照に ttp //www.nagoya-town.com/search/dir.php?q=%A5%C1%A5%E3%A5%AA so=this cat=0006-0017-0046 x=45 y=15 鮪小屋本店(丼物・おつまみ、★★、ユニモール etc) 『中トロ丼W @1160』を注文 中毒者が多いから先に突っ込んでおきますが、Wの読みは逆毛じゃありません。酢飯は控えめ、中トロは相変わらず美味。一応補足しておくがWとは2段の意味。飯の中に1層埋もれてます。ノーマルの中トロ丼だと960。 店内はカウンター30席、テーブル20席ほどと、ユニモールにしては広めの店。唯一の悩みは店員のおばちゃん達。大体が陽気で明るいんだが、逆に五月蝿い一面も…。人が食ってる側で常連客(?)と『寒天が~~~』『血糖値が~~~』『今度娘が~~~』『あっはっは♪』お ま い ら 少 し 黙 れ (怒)。3時頃は休憩時だから雑談OKですか、そんな時間に入った俺が悪いですか、そうですか_/ ̄|● 他メニューで『てこね丼650』など、丼ものは大体1000前後。刺身、焼き物、セットメニュー、酒も各種あり、夜は飲み屋としても利用可能 矢場とんエスカ店(とんかつ、★★、エスカの最北) 『ロースカツ定食 @1155 & 追加ライス @105』を注文。 構成はカツ、刻みキャベツ、ごはん、味噌汁、漬物。カツは一般的によく見るミドルサイズ。やっぱ名店と言われるだけの肉を使ってて、カツに関してはGood!!の一言。 あと味噌には種類があります。自分は初入店だったため矢場とん標準味噌で頼みました。とりあえずは、その店の標準を味わうのが筋ってもんさヽ(´ー`)ノ ご飯は女性に合わせた量なのか、若干不足と感じておかわりしました。味噌汁は白味噌でした。名古屋は赤だろヽ(`Д´)ノと、ぷっつんしないこと。 夕方前くらいに入店したが、30席前後がほぼ満席。カウンター席は狭め、つか隣の兄ちゃんに2~3度肘打ちされた。 他にもお品書きは色々あり、大体予算としては昼夜問わずに1100~2000円。えぇ、金ケチってロースカツを注文した負け組ですよ。 UCC Cafe Plaza(喫茶、★★、ユニモール) 『夏のフルーツワッフル・ドリンクセット @820円』を注文 ワッフルは外がサクサク、中はふんわりと非常にウマ~でした。オレンジ、キウイフルーツ、生クリーム、アイスなどお好みに合わせていただけます。最近で最後に食べたデザートと言えば、喫茶マウンテンの辛口マンゴースペシャルだから、天地の違いを感じました。あの喜怒哀楽を表すような地獄の一品と違って、喜楽が詰まっている幸せの一品でした。比較対照物が間違ってる等のクレームは受け付けません(∩゚д゚)アーアーきこえなーい コーヒーもサイフォンで淹れたこだわりの一品のようで、目の前(客席)で氷の詰まったコップに熱々のホットを入れて作ってくれます。ん?コーヒー店じゃ普通?コメダや地元の小さい喫茶しか入ってないんだ、その辺りは勘弁してくれorz。コクがあり、すっきりした苦味の飲みやすいコーヒーで個人的には◎でした。 また、ワッフルを単品頼むと¥450になります。 またホワイトバランスをオートにしたまま撮っちゃったorz。自分の撮影能力の無さに乾杯 六行亭(名古屋コーチン、★、エスカ) 『親子丼定食 @1029』を注文 鈴波と同じ系列なだけあって、料理に使う素材はよかったです。逆に言えばそれだけの料理でした。って言うか、外で親子丼を食べた事ないから家としか比較できないけどね!!家の親子丼はダシ汁が結構濃い(?)ので、もっと別の味なんですよね。玉ねぎを入れていることで独特の甘みもあるし。それに対して、ここの親子丼は激薄のダシ汁、玉ねぎ無し。もうね、卵ご飯に鶏肉を載せてるだけって感じですわ。バンバンジーも特別上手いって事もない品でした。漬物は鈴波系列だけあって激ウマですけどね!! とりあえず個人差が出そうな評価のし難い店でした(;´Д`) 初見はかなり期待したんだけどね・・・(´・ω・) カトレヤ(喫茶・軽食、★、ユニモール) 『気まぐれオムライス・コーヒー付き @980』を注文 実はデミグラスソースかけたオムライスってあまり食べた事ないんですよね。その点だけは新鮮に味わえました。他は至って普通の一品。あのオムライスじゃちょっとね・・・。特に卵がくどすぎ。店員の対応と言い『満足』という言葉は浮かび上がりませんね。コーヒーも( A`)でしたが、こっちはセット価格200円と安いから許すべきなんだろうか?でもやっぱ許せんな。正直に言ってRootsを置いてくれた方が、ネタ的にも味的にも満足できたかも(爆) あと、スピーカーくらいさっさと直しましょう。 近いうちにオムライス専門店行って比較してみるかなヽ(´ー`)ノ 五右衛門(パスタ専門店、★★、ユニモール) 『紀州の梅と鶏そぼろの和風仕立て @1000』を注文 いつもランチ時に人が並んでる店です。前々から気にはなっていたんですが、外から中が見えないので店内雰囲気が(´・ω・)?なんですよね。それでも並ぶ=ハズレではないと思い、入ってみないと分からんヽ(`Д´)ノGO!!って訳で行きました。 店内に客は結構居たのですが、♂は俺以外誰も居ませんでした(ノ∀`)アチャー 同じパスタ系の店って事で比較するなら、パステルを明&洋、こちらを暗&和とする感じかな。お味の方もなかなか良かったですよ。青シソと梅がパスタによく合ってました(´¬`)b 難点を挙げるとしたら、注文から時間かかりすぎってとこかな。空いてる時間なのにそこそこ待たされました。あと、この店はパスタを箸で食べるのですが、注文の品によってはスプーン頼んだ方がいいかも。 店内暗いからレンズ開く時間を長めにしたら凄いブレちゃったorz 浜寿し(寿司、★、ユニモール) 『寿定食 @1000』を注文 なんとなく入ってみました。寿定食を頼みました。そこそこ待たされました。定食がきました。寿司ネタに水分がありませんでした。もうね、ダメ。乾燥したネタを強制的に食わせる点で回転寿司より下位。握り方もあまいため、シャリが崩れやすい。茶碗蒸し、味噌汁も回転寿司と変わらん物だし(;´Д`) 敢えて誉めるとすれば500円割引クーポンか?500円引きのクーポンは早々渡せるものじゃないからな。750円のちらしを2度に分けて食べても1000円で済むのはおいしい。実はちらしも既に食したんだが、至って普通のちらし。イクラなども入っているのだが、どこかケチってる雰囲気があるから悲しい。
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生徒名簿 > 白川基 >[プリズム]白川基(SSR) ※カードにキラキラエフェクト有、デート不可、ストーリーおよびスチル無しといった特殊カードです。 [プリズム]白川基(SSR) 攻魅力 16380 守魅力 16380 攻M 42147 守M 42147 コスト 20 卒業祝い 40000メン アピール 勇気を出して、勝負してみます……! └全タイプの攻守魅力大UP ストーリー なし 入手方法 愛情度 台詞 ボイス +... [部分編集] カレ自慢アピール 勇気を出して、勝負してみます……! マイページ あ、危ないので離れていてください……! マイページ 今、新しい実験に挑戦しているんです。 マイページ 僕の実験を、見学しに来てくれたんですか? マイページ +... [部分編集] あ、危ないので離れていてください……! 今、新しい実験に挑戦しているんです。 僕の実験を、見学しに来てくれたんですか? [部分編集] 登校 +... [部分編集] 朝 科学雑誌が面白くて、つい夜更かししてしまいました。 今日は授業で実験をするんです。今から楽しみです。 低血圧なので、朝はあまり得意じゃないんです……。 放課後 あなたと一緒に食べるお昼は、いつもより美味しいです。 推理小説って、読んでいるとドキドキしますよね。 す、すみません。また化学の話をしてしまいましたね。 夜 あなたの優しさには僕、いつも救われているんです……。 勉強で疲れたときは、ブドウ糖を食べるといいですよ。 よ、良かったら、また僕とお話ししませんか……っ!? カレ自慢 +... [部分編集] 対決画面 ― ぼ、僕が相手になります……! 告白タイム +... [部分編集] 戦闘中台詞 ― 勝利 ― 敗北 ―
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「今、何か光りました?」 「ああ」 美浜ちよと阪東秀人の二人は、鎌石村に向かう途中、その鎌石村から少し外れた所で何かが光るのを目撃した。 光ったのは一瞬で、木などの障害物もあったため、何の光なのかは分からなかったが、 障害物越しにも光ったと分かるほどの、かなり強い光だった。 それを見て、閃光弾の知識など無い二人だが、明らかに人工の光だということは分かった。 ということは、光の元に誰か居るということだ。 「行ってみるか」 「はい」 阪東もちよも、自分と同じ学校の仲間と(阪東の場合、仲間と呼べるような関係でもないが)合流したいと考えていたが、今はそのための手がかりが無い状況だ。 ならば、人がいるところを片っ端から確認して回るしかない。 その点では、阪東もちよも考えは同じだった。 しかし、その先は違っていた。 ちよは単純に、行く先に同じ学校の誰かが居たらいいなといった程度に考えていたが、阪東は別の可能性も考えていた。 光の元にいるのが同じ学校出身者ではなく、さらに殺し合いに乗っている場合だ。 ここは殺し合いの舞台であり、さらに光の正体も分からないのだから、警戒するに越したことはないだろう。 この辺りは頭の良し悪しというより、これまで踏んできた場数の違いだった。 「油断すんなよ」 阪東は、自分のデイパックから支給品の鎌を取り出しながら言った。 この鎌は、阪東に唯一支給された武器だった。 「っ!!……はい」 それを見て一瞬怯んだちよだったが、そこでやっと阪東と同じ考えに至り、戸惑いながらも同意した。 「あれ?なんだろう?」 塚本天満が閃光弾の光を目撃したのは、三村信史を探して鎌石村にさしかかった頃だった。 しかし天満も、当然だが閃光弾の知識など無く、それが何の光なのか分からなかった。 (花火……かな?) もし花火だったら、もう1回光るかも知れない。 二人分のデイパックを抱えてここまで歩き、疲れていた天満はそんな風に考え、 その場で立ち止まると、ボーッと光った方を眺めてみた。 「……今のは?」 一条かれんもまた、閃光弾に気が付いた人物の一人だった。 かれんは赤坂理子と別れ、村役場を出た後は他の参加者を探して鎌石村の中を隅々まで探索していた。 しかし、残念ながら鎌石村では他の参加者に出会うことが出来ず、 また、民家を一軒一軒調べていくその作業は、思いのほか時間がかかっていた。 そこで一度、理子の所に戻ろうと村役場に向かう途中で閃光弾の光を目撃したのだ。 「……なんだろう?」 もちろん、他の参加者と同じく閃光弾の知識など無いかれんは、何の光だか分からずに、しばらくその場で立ちつくしていた。 「あ!」 しかし、それが参加者の誰かによるものかも知れないという可能性に気が付くと、 すぐに光った方へ向かって走り出した。 「チッ、銃声か!?」 阪東は身を低くすると悪態をついた。 阪東とちよが先ほど光った方へ向かって歩いていると、突然、進行方向から銃声のような音が聞こえてきたのだ。 「あ、あわ…」 「バカか!つっ立ってんじゃねー!!」 阪東と違い修羅場慣れしていないちよは、 その音に驚き、体を硬直させることしか出来なかった。 阪東はそんなちよの腕をつかむと、近くにあった木の陰に移動した。 「い、痛いです」 ちよは抗議の声を上げたが、阪東はその声を無視して音のした方に注意を向けていた。 その後、少し間を置いて、今度は立て続けに何発も銃声が(もう銃声で間違いないだろう)鳴り響いた。 「どーやら、オレ達を狙っているワケじゃねーみてーだな」 「…………」 その音は、よく聴けば阪東達からだいぶ離れたところのようだったし、 近くに着弾した様子もないことから阪東はそう判断し、少しだけ緊張を解いた。 「おい、お前…」 阪東はちよの方へ振り返り、声をかけた。 ちよは、顔色は真っ青で目は涙目、体も震え、明らかに怯えている様子だった。 しかし、阪東も早急に大事なことを確認しなければならなかったので、 ちよが受け答えできる状態かは分からなかったが、ここでは質問することを優先した。 「オレに支給された武器はこれだけだ。お前の支給品に銃はあったか?」 阪東は鎌を見せながらそう言い、ちよの持っている武器を確認しようとした。 「…………」 ちよは、まだショックで声を出すことが出来なかったが、阪東の言っていることは分かったようで、無言で首を振るとデイバックを開け、阪東に差し出した。 阪東はそのデイパックの中を覗き込むと、軽く舌打ちをした。 ちよのデイバックには、食料や水といった支給品一式の他には、 鉄パイプと、トラロープが入っていた。 鉄パイプの長さは50センチほど、 トラロープの長さは、巻かれているので正確には分からないが、 おそらく10~20メートルほどだろう。 まるで工事現場かどこかから拾ってきたような支給品だった。 (チッ…、どうするか) 今の銃声で、阪東達が向かう先では殺し合い、しかも銃撃戦が行われている可能性が一気に高まった。まさか威嚇や試し撃ちであんな風には撃たないだろう。 そんなところにノコノコ出て行くのは自殺行為だ。 せめて銃があれば立場は対等だが、ふたりの支給品の中で武器として使えそうな物は、阪東の鎌とちよの鉄パイプぐらいだった。 どちらも使い方によっては人を殺すことも可能だが、銃に対抗するには貧弱すぎる。 「あ、あのー、阪東さん」 「ああ?」 阪東が迷っていると、意外なことにちよから声をかけてきた。 どうやら、阪東が支給品を確認している内に、少しは落ち着いたようだ。 顔色は相変わらず悪かったが、涙目ではなくなっていた。 「やっぱり、その、むこうの様子は見に行ってみませんか? むこうにいるのが私か阪東さんの学校の人なら、話し合いは出来ると思いますし」 ちよは声こそ震えていたが、それでもゆっくりと、しっかりと、自分の意見を伝えた。 「じゃあ、違ったらどーすんだ? 相手は銃を持ってんだぞ?」 「はい、ですからまずはこっそり様子を見てみて、違ったら戻ってきましょう」 最初は相手に気付かれないように様子を見て、同じ学校なら声をかける。 違う学校なら声をかけずに戻ってくる。 先ほどの銃声で、相手の位置は大体分かっているし、慎重にやれば出来るだろう。 勿論危険はあるし、阪東の趣味には合わないが、この島ではそんなこと言っていられない。 「わかった」 阪東は、それだけ言うと再び歩き出し、ちよもそれについて行った。 「う、動かないで下さい!!」 そのとき、ふたりの背後から声がかかった。 「なに!?」 「え!?」 阪東とちよが驚いて振り向くと、ふたりの背後に拳銃を構えた女子が立っていた。 一条かれんだ。 他の参加者を探して走っていた彼女が、阪東とちよを見つけたのは、 銃声がしたすぐ後のことであり、阪東とちよは銃声に気を取られて、 背後から接近するかれんに気付かなかったのだ。 もちろん、かれんも先ほどの銃声は気になっていたが、 今は目の前のふたりを説得して、村役場に行ってもらうのが先だと考えていた。 「抵抗しないで武器を捨てて下さい。 そうしてくれれば、危害を加えたりしないと約束します」 銃を構えたかれんは、ふたりが振り返ったのを確認すると、そう付け加えた。 「それで、武器を捨てさせた後は!オレ達をどーする気だ!?」 阪東は、かれんを睨みつけながら叫んだ。 「わ、私、いま仲間を集めているんです」 「オレ達も、てめーの仲間になれってことか!?」 「そうです!」 「チッ…」 阪東は、この島に来て何度目か分からない舌打ちをすると、考え込んでしまった。 確かに、かれんは嘘を言っているようには見えなかったが、 しかし人を見た目だけで判断すると痛い目を見るということも阪東は知っていた。 情報だけ聞き出して、いきなりズドンという可能性だってあるし、 何より銃を突き付けられて、同行を強要されているということが、 阪東には腹立たしかった。 「あ、あのー、私達は…」 阪東が黙ってしまうと、今度はちよが口を開いた。 そのとき、阪東の頭にひとつ案が浮かんだ。 「きゃ!?」 阪東は突然ちよの後ろに回り込むと、肩を掴み、首に持っていた鎌を突き付けた。 ちよは突然のことに、小さく悲鳴を上げた。 「てめーこそ銃を捨てな!!でないとこいつが死ぬことになるぜ!?」 『えぇ!?』 ちよとかれんの声がハモった。 そこで阪東は、ちよにだけ聞こえるように耳打ちした。 「(合わせろ…、いや、黙ってジッとしてろ)」 最初は、状況に合わせて演技をするように言おうとした阪東だったが、 すぐに、ちよはこの状況で演技なんて出来るのか?という疑問が頭に浮かび、 静かにしているよう、指示を変更した。 「え、でもこの人は…」 ちよは、かれんのことを信用できそうな人だと感じていたので、 阪東の行動が演技だと分かると、そんな事をする必要はないと言おうとした。 「いいから黙ってろ!!」 「ひっ」 阪東はそんなちよに向かって怒鳴ると、カマを首に押しつけた。 演技だと分かっていても、そんなことをされては恐ろしくて、ちよは黙るしかなかった。 「な、なんで…」 一方、かれんは状況について行けず、混乱していた。 かれんから見て、ふたりは行動を共にしている仲間に見えたのだが、それは勘違いだったのだろうか? (と、とにかくあの子を助けないと。…どうすれば?) そう考えたかれんだったが、阪東はかれんが考えをまとめる時間など与えず、どんどん詰め寄っていった。 「さあ、どーすんだ!?仲間を集めてんだろ? 早くしないと、その仲間が死ぬんだぞ?」 「……」 ちよはもう口を開かず、阪東に言われた通り黙ってジッとしていた。 「え、あ、あの……」 (死ぬ?あの子が死んでしまう?こんな弾の入っていない銃のせいで?) 「さあ!!」 「わ、わかりました」 どうせ弾の入っていない銃だ。 かれんはそう結論づけると、持っていた銃を足元に置いて後ずさった。 「これで…、いいですか?」 「もっと銃から離れろ!」 そう言われて、かれんはさらに何歩か後ずさりした。 阪東はそれを確認すると、ちよに鎌を突き付けたまま前進し、銃の元へたどり着くとちよを解放して銃を拾い上げた。 (今だ!) かれんはそれを見ると、阪東に向かって猛然と突っ込んだ。 「なに!?」 それは阪東にとって、まったく予想外の動きであり、結果、阪東はかれんのタックルを綺麗にもらってしまった。 「うお!!」 ドサッと地面に倒れ込み、その衝撃で阪東は持っていた銃と鎌を落としてしまった。 それだけ、勢いのあるタックルだった。 (バカな!銃を持ったヤツに突っ込んでくるだと!?) (よし!あとは赤坂さんの時と同じように押さえ込んで……) 今度は先ほどとは逆で、阪東が状況について行けず、赤坂理子がそうされたように簡単に組み伏せられてしまった。 「とにかく私の話を…、い、痛い!痛い!!」 しかし、ここからが理子と阪東では違っていた。阪東はかれんの髪をグイグイと引っ張り、無理矢理引きはがそうとしたのだ。 「ふざけんなあぁぁ!!」 「くうぅ」 かれんは、たまらず押さえ込むのに使っていた手を離し、自分の頭にのばしてしまった。 その隙を見逃す阪東ではない。かれんが少し体を浮かせた瞬間、ガバッと一気にひっくり返して体勢を入れかえた。 「オラァ!!」 そのままかれんに馬乗りになった阪東は、顔面に向けてパンチを繰り出そうとした。 阪東は、相手が女だろうと容赦する気は無い。しかし、かれんも負けてはいなかった。 「えぇい!」 阪東に上に乗られた瞬間、すかさずブリッジをして阪東の体勢を崩すと、すぐさま阪東の下から脱出した。 パンチを出そうとしていた阪東は、この動きに対応できなかった。 しかし、下からの脱出は許してしまった阪東だが、すぐに追撃し、かれんが立ち上がる瞬間に顔面へ蹴りを放った。 「シャアァ!!」 「くっ」 とっさに腕でガードしたかれんだったが、腕一本では阪東の蹴りの衝撃は殺しきれず、 跳ね上がった腕が自分の口に当たり、バチンと音を立てた。 その際、かれんは口内を切ってしまい、口の中に血の味が広がった。 それでも何とか立ち上がったかれんは、バックステップで距離を取った。 蹴りを放った直後で、体勢が不十分だった阪東もいったん下がり、 両者の間には、一気に3メートル程の距離が生まれた。 「ハッ、ハッ、ハッ……」 「はぁ…、はぁ…」 時間にしてほんの十数秒間の攻防だったが、ふたりとも肩で息をしていた。 それだけ、ふたりとも全力だった。あるいは緊張状態の中、激しく動いたせいかもしれない。 (レスリングか、予想外だったな) 阪東は、かれんの意外な能力に驚いていた。 見た目で判断するべきではないとは思っていたが、 まさかあんな華奢な体にあれほどの力が備わっているとは思わなかった。 銃さえ何とかすれば、後はどうとでもなると考えていたのだ。 だが、阪東が今まで鈴蘭や武装戦線で戦ってきた相手の中には、アマレス経験者もいた。 そうと分かれば対処法はある。 (どうしよう……?) かれんは、阪東のラフな戦い方にどう対応していいか分からず、困惑していた。 今の攻防でかれんは、阪東に対してタックルを決めること自体は、 それほど難しく無いと感じてたが、問題はその後だった。 今と同じように組んでも、また同じように髪を捕まれてしまうだろう。 しかし、阪東の鋭い眼光を見ると、その他の隙の大きい技は決まる気がしなかった。 (腕も固めて押さえ込むしかない!) ただタックルを決めるよりもよほど難しいが、やるしかない。 かれんは覚悟を決めると、再びタックルに入るべく、体勢を低くした。 「…………」 ちよは、まだ阪東に言われたとおり、黙ってジッとしていた。 「シッァ!」 先に動いたのは阪東だった。 軽く踏み込んで間合いを詰めると、かれんの顔面にむけてパンチを繰り出した。 (行ける!) かれんはそれを下に避けると、阪東の腰に組み付くべくタックルに行った。 その瞬間、ドゴッという音がしてかれんの体に衝撃が走った。 「かはっ!?」 かれんの腹に阪東の膝がめり込んでいた。 先ほど阪東が放ったパンチは、この膝蹴りを決めるための囮だったのだ。 (終わったな) 阪東は自分の勝利を確信した。並の男なら、今の一撃で悶絶し、戦意を喪失する。 レスリングをやっているとはいえ、こんな華奢な体の少女が耐えられる訳がない。 「ん?」 「はぁ、はぁ、はぁ……」 しかし、かれんは崩れ落ちず、膝蹴りを決めた阪東の足にしがみついていた。 「こいつ!!」 阪東は、その事実に驚いた。確かに、かれんの動きが阪東の予想以上だったため、 阪東の膝蹴りは完全に威力が乗り切る前に、かれんにヒットしてしまっていた。 だが、男の膝蹴りが女に突き刺さったのだ。無事で済むはずがない。 これは、阪東が予想した以上に、かれんの腹筋が強靱だったということだろう。 しかし、阪東は驚きつつも、体の動きは止めなかった。 「オラァ!」 まずは足を振ってかれんを振りほどこうと試み、それで離れないとかれんの頭に拳を振り下ろした。 「放せやコラァ!!」 「くっ」 ゴッという生々しい音が響いた。 しかし、阪東の拳も体を密着させた相手には思うような威力が発揮できず、かれんの体を引き離すには至らなかった。 (痛い…、それに、息が苦しいよぅ……) 何とか阪東の膝蹴りに耐えたかれんだったが、その衝撃はすさまじく、体にほとんど力が入らず、呼吸も苦しい状態だった。 しかしかれんは、ここで離れてしまったらもう自分に勝機はないと感じていた。 だから、意地でもしがみついた腕は放さなかった。 「チッ」 阪東は、もう一度鉄槌を振り下ろすべく拳を振り上げた。 思うような威力が出ないとはいえ、今は自分が相手を一方的に殴っている状況だ。 ならば、このまま何度も殴って心を折ってやろうと考えた。 「ウラァ!」 「うぅ…」 そうして2度目の鉄槌が振り下ろされ、ガッという音がした。 しかしかれんは、痛みとは裏腹に、自分の体に力が戻りつつあることを感じていた。 試しに少しだけ足を動かしてみると、スッと思ったように動かすことができた。 日頃鍛えている彼女の身体は、回復力も並外れていたのだ。 (これなら……) 今なら、片足タックルの要領で倒すことが出来る。 そう判断したかれんは、自らの足に力を込めた。 阪東はちょうど、3度目の鉄槌を振り下ろすべく、拳を振り上げたところだった。 「やめなさい!!」 その瞬間、突然第三者の声が割り込んだ。 『!?』 かれんも、阪東も、思わず声の方へ振り向いた。 するとそこには、黒くて髪を頭の両側で縛った背の低い少女が、阪東の落とした銃を構えて立っていた。塚本天満だ。 閃光弾にはすぐに反応できなかった彼女だが、さすがに銃声を聞いてた後は、 ただ事ではないと理解し、ここまでやって来たのだった。 そして今、眉をつり上げ、口をへの字に曲げ、怒りをあらわにした彼女は、続けて言った。 「早くカレリンから離れて!男の子が女の子を殴るなんて最低だよ!」 「塚本さん……」 「大丈夫だよカレリン。こんな人、私がやっつけちゃうからね!」 それを見て、阪東は内心焦った。 阪東が焦るもっとも大きな理由は、天満がデイパックを2つ持っているということだ。 おそらく、1人1つしか支給されないであろうデイパックを2つ持っているとうことは、 この「塚本さん」と呼ばれた少女は、ここに来るまでに人ひとり殺すなりして、デイパックを奪ってきたということになる。 そんなヤツが、今、自分に銃を向けている。 (クソッ…、これまでか?) さすがに万事休すかと思った阪東だったが、次にかれんが予想外の一言を発した。 「ま、待って、塚本さん。その銃、弾は入っていないんです」 「あぁ?」 「ええ!?」 それを聞いて、天満はとたんに慌てだすと、ゴソゴソとデイパックに手を突っ込み、 調理に使うような取っ手付き麺棒を取り出して、バットの様に構えた。 「さ、さあ、こ、来い!」 阪東は、その様子を疑問に思った。 (なんだ?これが人を殺したヤツの態度か? いや、違うのか?) 天満の様子は、人ひとり殺した者のそれとは、とても思えなかった。 そして、阪東はかれんの方を見た。もう、阪東の足からは離れていた。 (さっきは弾の入ってねー銃だったから、向かってこれたってワケか。 本当に撃つ気はなかったらしいな。簡単に手の内を明かすのはどーかと思うがな) 天満がデイパックを2つ持っていた理由は、未だに分からなかったが、 ひとまず、このふたりに危険はないと判断した阪東は、不意に横を向いた。 「……やめだ」 「え?」 「あんたとやり合うつもりは無ねーよ。てめーもだ。」 そう言って阪東は、呆気にとられているふたりを余所に、ちよの元まで歩いた。 「…………」 「お前、いつまでそーしてるつもりだ?」 「…黙ってろって言ったのは、阪東さんです」 「拗ねるなよ」 どうやらちよは、人質役にされた事が不満のようだった。 少しの間、そうして膨れっ面を披露していたちよだったが、阪東が軽く肩を叩き、 目配せするとすぐに元の顔に戻った。 (後は任せたぞ) (あ、わかりましたー) この瞬間、ふたりの間では不思議と言葉に出さなくても、意志の疎通が出来ていた。 そうして、ちよはかれんと天満の元に走っていって挨拶した。 「はじめましてー、私、美浜ちよといいます。向こうの人は阪東さんです」 「あ、初めまして。一条かれんです」 「わー、かっわいい。私は塚本天満だよー。よろしくね!」 どうやら、彼女たちはすぐにうち解けたようだった。 その様子を見て、阪東は思った。 (フン、これでいい) やはり危険のない相手なら、交渉はちよに任せた方がうまく行きそうだ。 阪東は自分のデイパックから水を取り出すと、飲みながら成りゆきを見守ることにした。 3人は自己紹介も終わり、かれんが最初に銃を向けたことを謝っているところだった。 「その、さっきはごめんなさい」 「もういいですよー。それでー塚本さん、そのデイパックって、どうしたんですかー?」 ちよはまず、阪東が今の時点でもっとも気になっていたことを天満に訊いた。 「あ、これはね三村くんのなの。そうそう、私ね、三村くんって子を探してるんだ。 酷いんだよ、その子、荷物も私も置いて先に行っちゃうんだもん」 天満は三村信二と出会った時のことや、彼の特徴などを話した。 「そうだったんですかー」 どうやら、嘘をついている風でもないし、殺して奪った訳ではないようだった。 「それじゃあ、私達も人を探しているところですから、一緒に探しましょー」 「うん、ありがとね!」 そこで、ちよと天満は握手を交わした。 次にちよは、かれんに向き直った。 「それで、一条さんは仲間を集めてるって言ってましたよね。 いま何人くらい集まってるんですかー?」 「うん、まだ私以外は1人だけなんだ。赤坂理子さんって人が協力してくれてるよ」 「赤坂さん、ですかー?」 それは、ちよの学校の生徒の名前ではなかった。 そこでちよは一度阪東に視線を送った。その視線に気付いた阪東は、静かに首を振った。 どうやら、阪東の学校の生徒でもなかったようだ。 「それでね、出来ればちよちゃんと向こうの阪東さんにも仲間になって欲しいの。 私、全員が生き残れる可能性に気付いたんだ。 向こうの村役場なんだけど、一緒に来てくれないかな?」 「えっとー」 全員が生き残る可能性という言葉はかなり気になったが、ちよはひとりでは決められず、 もう一度、阪東に視線を送った。 阪東は、今度は話に加わるべく、3人に近づきながら口を開いた。 「さっきの銃声はどーすんだ?もうだいぶ時間経っちまったが、 向こうにも人がいるのは確実だ。オレ達はそれを確かめに行くところだったんだぜ」 「えっと、それは…」 かれんは、最初に阪東とちよを発見した時、ふたりには武装解除してもらった上で、 二人だけで村役場に行ってもらい、自分はそのまま銃声の元へ行くつもりだった。 しかし、未だに二人の武装解除は果たせていない。 あまり時間をかけていると銃声の主がどこかへ行ってしまう可能性もあるし、 いまさら武装解除を頼んでも、ちよはともかく阪東は承知しないだろう。 そして、武装解除していない状態では、自分も一緒に村役場へ行って理子に説明をしなければならない。 「あのー。それじゃあ、こーしませんか?」 困惑しているかれんを見て、ちよが助け船を出した。 「私達みんなで、その、銃声がしたところを確かめに行って、その後みんなで村役場に行くのはどーですか?」 「え、でも」 折衷案としては妥当かも知れないが、それだとちよや他のみんなを危険にさらす可能性がある。 まだ困った様子のかれんに、今度は天満が声をかけた。 「そうしようよカレリン!うん、決まり!それじゃあ行こう!」 「つ、塚本さん?」 天満は、声をかけるだけでなく、かれんの手を引っ張って歩き出した。 結局、他に考えが浮かばなかったかれんは、そのまま引っ張られて歩き出し、 ちよと阪東も後に続いた。 「あ、そうだカレリン、お腹空いてない? 私、いいもの持ってるんだー。ほら!」 天満はごそごそとデイパックを漁り、おにぎりを取り出した。 「ん……、大丈夫です。今はお腹空いてないんです」 このかれんの答えは嘘だった。本当は、かなりの空腹を感じていたかれんだったが、 先ほどの阪東との戦いで切った口内の傷が、まだふさがっておらず、 時折自分の血を飲み下しながら喋っている状態だった。 血が口から溢れてくる訳ではないので軽傷のはずだが、そんな状態で食べ物を口にする訳にはいかないだろう。 「そっかー。それじゃあ、ちよちゃん!どう?」 天満は特に追求することはせずに、同じおにぎりを今度はちよに勧めてみた。 「ありがとうございます、でも、私もいまはあんまり食欲が無くてー」 このちよの答えは嘘ではなかった。 ちよは、ホテル跡で目覚めたときに、胃の中のものを全部吐き出してしまっていたので、 胃の中は空っぽだったが、今はまだ、何か食べてもすぐに戻してしまいそうな気がして、食欲が湧かなかった。 「うーん、そっかー」 最後に天満は、チラッと阪東の方を見た。彼は、歩きながらパンをかじっていた。 (あれなら、おにぎりはいらないよね。欲しがってもあげないけど!) そうして、天満はおにぎりにかじりついた。 「むぐむぐ…、ほらー、美味しいのにー」 そう言って、天満はケラケラと笑った。 かれんとちよもつられて笑っていた。 阪東は、笑ってはいなかったが、それほど悪い気はしなかった。 「ゲホッ……、あ、れ?」 そうしていると突然、笑っていた天満が口から血を吐き出し、その場に崩れ落ちた。 「え?」 「塚本さん?」 「なに?」 慌てて他の3人が駆け寄ったが、天満はすでに事切れていた。 「そんな…、塚本さん!塚本さん!」 「どーしたんですか? 塚本さん?」 「おい、どうした!?」 かれんは、信じられないといった様子で何度も天満の名を呼び、ちよはそれを心配そうに見つめていた。 「……死、んで、ます」 かれんは、それだけ言うとその場で座り込み、シクシクと泣き出してしまった。 「うぅ、なんで…、ふぇぇぇ…」 「そんな…」 「くそ、どうなってる?」 その後、3人はしばらくその場を動くことが出来なかった。 【塚本天満@School Rumble 死亡】 【残り30人】 【C-3 道/一日目 午前】 【美浜ちよ@あずまんが大王】 【状態】:空腹、精神的ショック 【装備】 なし 【所持品】 支給品一式、鉄パイプ、トラロープ 【思考・行動】 1 ………… 2 島からの脱出方法を考える 3 鎌石村へ向かう 4 仲間を探す 5 誰も殺したくない 6 閃光弾と銃声の元を確認する 7 その後、かれんの言った村役場へ向かう 【阪東秀人@クローズ】 【状態】:疲労(小)、精神的動揺 【装備】 鎌 【所持品】 支給品一式 【思考・行動】 1 ………… 2 しばらくちよと一緒に行動する 3 襲ってくるなら誰であろうと叩きのめす ただし余程の事が無い限り殺す気は無い 4 ヒロミ達とはできれば一度合流しておきたい 5 この島から脱出する 6 閃光弾と銃声の元を確認する 7 その後、かれんの言った村役場へ向かう 【一条かれん@スクールランブル】 【装備】:ワルサーP38(弾数0/8) 【所持品】 支給品一式、ランダムアイテム1~3 【状態】:疲労(小)、空腹、口内出血(軽傷)、頭にたんこぶ、腹部にあざ、精神的ショック 【思考・行動】 1 ………… 2 他校の生徒を探し出し、無力化しつつ説得 3 仲間全員に取り返しのつかなくなる前に自分の仮説を伝えたい 4 閃光弾と銃声の元を確認する 5 その後、阪東達を連れていったん村役場に戻る 【その他】 塚本天満の持ち物(デイパック&支給品一式×2、毒おにぎり、取っ手付き麺棒)は、天満の死体が持っています
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都と名乗った少女を前に、かれんと理子は、この子美人だなと思った。 かれんも理子も、容姿に関しては決してレベルの低い方ではないが、 都と名乗ったこの少女は、自分達よりもワンランク上の美人に見えたのだ。 全体的に整った顔立ちの中で、ふわふわとウェーブのかかった髪と、ややタレ目気味の 目つきは、優しげなお姉さんといった雰囲気で、この国の女子にしてはやや高めの身長と、 服の上からでも良いと分かるプロポーションは、まるでモデルのようだ。 「こちらこそ、はじめまして。アタシは赤坂理子。こっちは……」 「あ、は、はじめまして、一条かれんです」 「ウフフ、よかった。みなさん、殺し合いには乗っていないみたいですね」 「ウン、アタシ達は安全よ。とりあえず立ち話も何だし、上がって」 「はい」 こうして、三人軽く自己紹介をした後、情報交換のために家の中へ入っていった。 この時のあまりにもスムーズな合流に疑問を持つ者は、この中にはおらず、 かれんも理子も、都に対しては友好的な人で良かったとしか思わなかった。 そうして、かれんと理子がちよ達と情報交換をした部屋に都を連れて来ると、情報交換が始まった。 「ところで、宮崎さんはどうしてあそこに立っていたんですか?」 「実は、ずいぶん前に一条さん達がここに入っていくのが見えたんですけど……、 今までずっと、どうしようか迷っていたんです」 「でも、思い切って来てくれたところだったのね?」 「はい、それで……うちの学校の人見かけませんでしたか?特にダンくん、栄花段十朗は、あたしの彼氏なんです」 「彼氏…それは心配ね。でも、アタシはこの場所からほとんど動いていないから……」 「私は朝の内にこの村全体を回ってみたんですけど、阪東さん達以外には誰とも会いませんでした」 「あとは、隣の部屋で寝てるカトーくんくらい?」 「阪東さん?カトーくん?」 「阪東サン達は今チョットいないんだけど、カトーくんは隣の部屋で寝てるのよ」 その話をきっかけに、かれんと理子はこの島で体験したことや、阪東達から聞いたこと、 そして自分達の目指すプログラムの終了条件について語っていった。 「そうですか……それで、塚本さんは今、村役場に?」 「はい、大きなソファのある部屋に……」 (ふーん、そういうことだったのね) かれん達が天満を村役場に運んだのは、都がこの家から目を離しているタイミングだったため、 この家の前までやって来たとき天満がいないのを不思議に思い、かれんがドアを開けるまで、 都はその場で立ち止まってしまっていたのだが、話を聞いて納得した。 (それにしても、時間切れで助かるなんて、んなコトあるかっつーの。 その阪東とちよって子も、そう思って離れたんだろうな。ま、戻って来ないでしょうね) 都が、ここまで聞いた話からそんな事を考えていると、理子が黙ている都に声をかけた。 「で、宮崎さんの方はアタシ達に会うまでに何かあった?良かったら教えてほしいんだけど」 「あら、そうですね。ごめんなさい、あたしったら」 「その、さっきの話で出た強い光や、銃声や、死体については…何か知りませんか?」 かれんの質問に、都は内心ほくそ笑んだ。ここまで都は、話の合間に感想を漏らしたり、 相槌を打ったりしていただけで、ずっと大人しい女の子を演じた。 そんな様子を見た理子とかれんは、この都こそが犯人だとは露ほども思わなかったのだ。 「実は…知っています。あたし、その場にいましたから」 「え、そうなの!?」 「はい、その死体の人は多分、西園寺世界さんです。あたし達、襲われたんです」 「その……誰に…ですか?」 「言いにくいんですけど……、一条さんと同じ制服を着た、金髪の女の子でした」 「え……沢近、さん?」 同じ矢神の仲間が殺し合いに乗っている。それはかれんが最も恐れていたことだった。 都の話を聞いたかれんは、頭の中が真っ白になった。 しかし、そんなかれんを無視して都の話は続いていく。 「あたしと西園寺さんが出会ってすぐでした。あたし達が今みたいに話をしていると、 その人……、沢近さんが突然現れて、閃光弾と言うのでしょうか? 何か光の出る手榴弾みたいな物を投げてきたんです」 そこで都はいったん言葉を切り、目の前の二人の様子をうかがった。 かれんは明らかにショックを受けているようだ。 理子も、そんなかれんの様子は気付いているみたいだが、 話の続きが気になるのか、それとも途中で話を止めては都に悪いと思っているのか、 「それで?」と、先を促した。 「それで、あたしはたまたま目をそらしたので大丈夫だったのですが、西園寺さんは それで目をやられてしまったみたいで……、その後、あたしは持っていた銃を撃ちながら 逃げたんですけど、西園寺さんは……。あたし、西園寺さんを見捨てて逃げたんです」 「それは……仕方なかったと思うワ。その銃はまだ持ってる?」 「はい、この中に」 理子は、都がそう言って差し出したデイバッグを受け取ると、中身を確認した。 その中には、理子やかれんにも支給されている物の他に、都が言った通り、 オートマチック拳銃(FN ハイパワー)が1丁と、予備のマガジンが3つ入っていた。 本当に何発か撃った後の銃なのだろう。その銃からは、火薬が燃えた後の臭いがした。 「宮崎さん、この銃、アタシ達で預かってもいいかしら?」 「それは…、困ります。あたしはこの後ダンくんを探しに行きたいんです。 その時、また誰かに襲われたらどうするんですか?」 「そうだケド……ねえ、かれんちゃん?」 都に反論され、かれんに話を振ってみた理子だったが、かれんは「沢近さんが……」と 呟くばかりで、まだショックから立ち直れていないようだ。 「とにかく返してください!あたしは、ダンくんを探しに行くんです!」 「待って!チョット待って!」 苛立った都は理子が持つ銃に手をかけ、理子から銃を奪い取ろうとするが、理子も奪われまいとして、二人はもみ合いになった。 「や、やめて、二人ともやめてください!」 そんな二人を見て、やっと我に返ったかれんがやめるように呼びかけるが、二人とも譲らない。 「返してください!これ、元々あたしのですよ!」 「ダメ!ダメだったら!!」 「きゃあ!」 もみ合っているうちに、とうとう理子が都を投げ飛ばしてしまった。 合気道道場の娘で、並の男子なら投げ飛ばせてしまう理子にとって、 都を投げるなど簡単なことだ。 「……くうぅー」 「あ、ゴメン!大丈夫!?」 しかし、なるべく穏便にこの場を収めたいと思っていた理子は、出来ればこんな事は したくなかった。今の投げは、ほとんど無意識に出てしまったのだ。 理子は慌てて都に駆け寄ろうとしたが、その前に都がガバッと身を起こした。 「え?」 「死ね!!」 都の手には、いつの間にか黒光りするリボルバーが握られており、それを見た理子が 驚いて足を止めた瞬間、そのリボルバーが火を吹いた。 パァン! 「ウソ……イヤ……」 都のリボルバー(スターム ルガー・ブラックホーク)が放ったマグナム弾は、 理子の腹部に直撃し、理子はその場に崩れ落ちた。 「……三…ちゃ、ん」 こうして、理子は唐突にその生涯を終えたのだった。 「痛ぅ、この銃、反動強いわね」 都はそう言いながら立ち上がると、理子が落したFNハイパワーを拾い上げた。 「やっぱり、あたしが使うにはこっちの方がいいか」 そんな事を言いながら、都は自分の手に戻ったFNハイパワーをかれんに向けた。 「え?……え!?」 かれんは目の前で起こった事が信じられず、さっきから棒立ちのままだ。 パン!パン! 「ああ!!」 そんなかれんに2発の9ミリ弾が襲いかかり、かれんは悲鳴を上げてその場に倒れこんだ。 「そうだ一条さん、さっきの話だけど、嬢があたしを襲ったってのは……嘘よ」 かれんが倒れると、都はスタームルガーを自分のデイバッグに入れながらかれんに語りかけた。 その時、隣りの部屋からガタンという音がした。 「あ、そういえば、もう一人いたんだっけ」 都はその音を聞いて廊下に出ると、ちょうど隣の部屋から男が出てくるところだった。 直接会うのは初めてだが、その男が加東秀吉である事は、理子とかれんから話を聞いていた 都には、すぐにわかる。 阪東に気絶させられてから今まで、ずっと眠っていた秀吉だったが、都が理子を撃った銃声で 目を覚まし、続けて聞こえてきた、かれんが撃たれた銃声を聞いてただ事では無いと飛び起きたのだ。 「テメェ、一体何をしやがった!?」 廊下に立つ都を睨みつけた秀吉だったが、都は彼の視線を受け流し、黙ってその手に握るFNハイパワーを秀吉に向けた。 パン!パン! 今度も2発、都が放った銃弾は確実に秀吉に命中し、当然秀吉はその場に倒れるはずだった。 「ぐっ、テ、テメェ!」 しかし秀吉は、苦悶の表情を浮かべながらも踏みとどまり、都に近づいていく。 「え?…この!」 パン! さらに1発、これでFNハイパワーの中にある弾はすべて撃ち尽くした。 「うぐ……、へっ、弾切れか?」 放たれた銃弾は、今度も確実に秀吉の胸に命中したが秀吉は倒れず、 逆に都の銃の弾切れに気付くと、今度はうすら笑いすら浮かべ、都に向かっていった。 (なんで?なんで倒れないの?) 秀吉が倒れないのは、服の下に着た防弾チョッキが秀吉の期待通りの性能を発揮している おかげだが、それに気付いていない都からは、秀吉が銃弾をものともせずに向かってきているように見えた。 (落ち着け!効いてはいた。でも弾を換える暇も、もう一つの銃を取り出す隙も無い) 防弾チョッキを着ていても、銃弾の衝撃が全て防げるわけではない。 都が撃った数だけ、秀吉はその身にボディブローを受けたようなものなのだ。 都は防弾チョッキには気付かなくても、そんな秀吉の表情の変化には気付いていた。 (それなら!) 都は一瞬で決断すると踵を返し、家の外へと走って行った。 「待ちやがれ!」 秀吉もすかさず都を追ったが、都の銃と阪東の拳にやられた痛みで、どうしても足が鈍る。 普段の秀吉ならそう簡単には逃がさないだろうが、今の秀吉は、家から出る前に都を捕まえる事は出来ず、外への逃走を許してしまった。 「くそ、逃がさねーぞ」 それでも秀吉は諦めず、都を追って家の外へと飛び出した。 素早く辺りを見渡すと、都が近くの草むらに飛び込む姿が見えた。 「待て!!」 それを追いかけて草むらに飛び込んだ秀吉が目にしたのは、軍用ライフル(コルトM4カービン)を構える都の姿だった。 そしてそれが、秀吉がこの世で目にした最後の光景となった。 タタタァン! 3点バースト機能により、立て続けに3発発射された軍用ライフルの銃弾は、 秀吉の着ている防弾チョッキを貫通して秀吉の命を奪い去った。 「はぁ…はぁ…、危なかった……」 都はかれん達と接触する前の準備として、この場所に今使ったライフルをはじめ、多くの武器を隠していたのだ。 大量の武器を持ち込んでは、かれん達を警戒させてしまうだろうが、 今のように何かあったときには、すぐ取りに戻れるように、だ。 「ふうん、防弾チョッキだったのか」 なぜ秀吉に銃弾が効かなかったのか? その理由を探るため、コルトM4カービンで死体となった秀吉の体を突っついていた都は、 秀吉がそれらしい物を着こんでいたのを確認した。タネが分かれば、なんてことない。 「この銃、凄いんだ」 FNハイパワー弾では防弾チョッキに防がれてしまうが、軍用ライフルの弾は防弾チョッキなど容易く貫通する。 そんな知識など無かった都は、ただ強力な攻撃をと思って使っただけだったが、 ライフル弾の思いもよらなかった威力に感心し、こんな銃が自分の手に渡って良かったと素直に思った。 「さて…と、ダンくんを探しに行かなくちゃ」 FNハイパワーのマガジンを交換し、スタームルガーをスカートの中へ戻すと、 都は地図を広げて次にどうするか考え始めた。 余談だが、銃を太ももにベルトで止めて隠すのは西園寺世界がやっていた事だ。 世界を嬲り殺しにする際、都は世界の太ももにベルトが巻いてあったのを見て、 それまで世界がどこに銃を隠していたのか理解し、世界からそのベルトを奪うと、 彼女を真似てスタームルガーはスカートの中に隠す事にしたのだ。 そしてそれは、先ほど赤坂理子を殺すのに役立ったし、この先も役に立つかもしれない。 そんな風に思い都は再びスタームルガーをスカートの中、太ももにベルトで止めて隠した。 (えーっと、確かこの村は一条が全部回ったんだっけ。 阪東とちよは、多分戻らないだろうし……、その二人とは後で仕切り直しね) 先ほど、理子やかれん達から聞いた事を思い出しながら、都は今後の行動を考えてゆく。 (他に人が集まりそうな場所は、平瀬村と氷川村か。ここから近いのは平瀬村ね) 鎌石村にこれだけ人が集まっていたのだから、他の二つの村にも人は集まっているだろう。 そして、その中には都の彼氏、栄花段十朗がいるかもしれない。 そう考え、都はとりあえず近い方の村、平瀬村へ向かう事にした。 (もしかしたら、あいつがいるかも知れないし、ね) 都が平瀬村に向かう事にした理由はもう一つある。 放送で名前が呼ばれなかった沢近愛理だ。 彼女が海に飛び込んだ地点から北側は、都が播磨を突き落としたような崖になっているので、 沢近が生きているなら、そこから南側で海から上がった可能性が高い。 だとすると、該当するのは平瀬村付近だ。 132 :それぞれの事情とそれぞれの結末 ◆xXon72.MI. :2009/09/26(土) 18 03 47 「待っててダンくん、絶対に一緒に帰ろうね。待ってなさいお嬢、絶対に殺してあげるわ」 最後に、武器と一緒にこの場に隠しておいた播磨のサングラスと天満のリボンをデイバッグに突っ込むと、都は鎌石村を後にし、平瀬村へ向かって歩き出した。 【C-2/1日目 午後】 【宮崎都@BAMBOO BLADE】 【状態】:健康 【装備】:コルトM4カービン(27/30) スタームルガーブラックホーク(6/6) 服装は、室江高制服のスカートと女物のブラウス、ダウンジャケット 【状態】:支給品一式 播磨のサングラス(天満のリボン付き) 閃光弾×2 スペツナズナイフ二本 FNハイパワー(13/13) FNハイパワー予備弾13×2 手榴弾×2 コルト M4 カービンの予備マガジン×2 スタームルガーブラックホークの予備弾29 【思考・行動】 基本:栄花段十朗と生き残る 1:平瀬村へ行く 2:栄花段十朗を探す。他校の人間は殺す 3:室江高校の人間は誰も殺せないだろうとアテにしていません 【その他】 支給品一式×3 手榴弾×2 スペツナズナイフ一本 閃光弾×1は、 都が一条かれん達を監視していた家に隠しました。 民家を出た阪東とちよは村役場の横を通り過ぎ、鎌石村の中央へ向かって歩いていた。 「それで、何か思いついたか?」 「えっと、何についてですか?」 歩きながら阪東はそんな質問をちよに投げかけたが、考える事が多すぎるせいだろう、 ちよはどれについての事か分からなかったようだ。 「この島からの脱出についてだ。それがどうにかならねーと、他の事考えても仕方ねー」 「あ、そうですね」 「で、何か考えたか?」 「えーと、この島から脱出するにはまず、必要な事が何なのか、考えないといけません」 「ま、そうだろうな…、で、何が必要なんだ?」 「島から出るために船が必要だったりすると思うんですけど……まずはこれです」 そう言って、ちよは自分の首を指さした。 「……首輪か」 「はい、これがある限り、いくら逃げようとしても駄目なんです。まずはこれを外さないと」 あの教室での光景が二人の脳裏によみがえる。 そう、どんなに阪東達が足掻いたとしても、これを爆破されればそれで終わりなのだ。 「それで?」 「あとは…とにかく首輪をよく見てみないと。阪東さんの首輪見せてもらっていいですか? 自分のは見えませんから」 「ああ、それはオレも同じだな。オレもちよのを見せてもらおーか」 「あ、それじゃあお先にどうぞ」 ちよはそう言うと、阪東から首輪が見やすいように顎を少し持ち上げ、目を閉じた。 その仕草は、まるでキスを待つ乙女のようだが、ちよがやっても色気は皆無だ。 「どれ……」 阪東は身をかがめ、ちよの首輪を指でつまんで観察した。改めて見ると、かなりごつい。 無理に外そうとすると爆発するらしいが、これはそもそも、そう簡単に外せそうにない。 「…………」 「ん…くく…きゃは、阪東さん、くすぐったいですー」 しばらく阪東がちよの首輪をいじっていると、突然ちよが声を上げて笑いだした。 どうやら、阪東が首輪をいじっている間、ずっと我慢していたようだ。 「おお、悪いな」 「ふぅ、それじゃあ私も阪東さんのを見てもいいですか?」 「ああ、ホレ」 「じゃあ、失礼します」 ちよは阪東の肩に手を置くと、首輪に顔を近づけたり離したり、覗き込んだりして色々な角度から見てみた。 しかし、学校の成績は優秀だが、だからと言って機械の知識が豊富なわけではないちよには、 結局大したことは分からなかったようで、最後に「やっぱり、よくわからないですねー」と言って、阪東から離れた 「オイ、お前は触られてくすぐったかったからそうしたんだろうがな……」 「はい?」 「お前の息が首にかかるのも、結構くすぐったかったぞ」 「あ、ごめんなさーい」 「まあ、いーけどな。それで、やっぱり分からねーか?」 「はい……うーん、あとは……ちょっと考えてみますね」 機械の事は分からないちよだが、この首輪に政府が求めている機能を想像予想して、首輪の中身を推理する事は出来る。 「まず……爆弾が入っているのは間違いないですよね」 「ああ、最初に死んだガキはそれで殺された」 「あと電波を送って爆破できるように、その電波の受信機、それから……、禁止エリアに 入ったかどうかわかるということは、居場所がわかる発信機とかも入っていると思います」 「俺達の居場所は筒抜けってわけか」 「…はい」 「クソッ」 「あとは……あ!」 「ん?」 ちょうど、そのタイミングでちよの腹の虫がぐーっと音を立てた。 「あ……阪東さん。ご飯にしませんか?」 「ああ、その方がいいらしーな」 ちよはまだ、この島に来てから今までの間、何も口にしていない。 そんなちよの提案で二人は腹ごしらえをする事となり、近くにあった郵便局に入って行った。 「それじゃあ、いただきます」 郵便局に入った二人は、普段は局員たちがいる奥側へと入って行き、そこで荷物の中から食料を取りだして食べ始めた。 「むぐむぐ、もぐもぐ……」 そうして食べていると、途中でちよがおもむろに席を立ち、郵便局のボールペンや 何かの受付用紙を取り出して、そこに文字を書き始めた。 デイバッグの中にも筆記用具は入っているが、ここは郵便局だ。 紙や書くものはあちこちにあり、デイバッグを開けるよりも、そちらを使った方が早かった。 「オイ、何やって……」 「いえ、お水が欲しいなと思いましてー」 一体何をやっているのかと声をかけた阪東に、ちよはシーッと口の前で人差し指を立て、 静かにというジェスチャーをしながら答えると、その紙を阪東に渡した。 『もしかしたら、首輪にはマイクがついていて、会話を聞かれているかもしれません。』 ちよが阪東に渡した紙には、そう書かれていた。 「!」 確かに今まで阪東は考えもしなかったが、参加者達の動向を知るには有効な手段だろう。 ちよは、先ほどの首輪の考察中にこの可能性に気付いたのだが、 もし、この予想が当たっていたとしたら、そのまま考察を続けるのは危険だと思い、 ちょうど自分の腹の虫が鳴ったのをきっかけに、話を中断したのだ。 政府は、都合が悪くなったら首輪を爆破できるのだから。 「オイ」 阪東は、ちよの書いた紙を見ると指をクイクイと動かし、 ちよに、近くへ来るようにというジェスチャーをした。 「はい」 それを見てちよが近寄ってくると、阪東はもう一度、ちよの首輪をマジマジと見つめた。 首輪の堅牢さに気を取られてさっきは気付かなかったが、いわれて見ると首輪にはそれらしい穴が空いている。 ひょっとしたら、これがマイクなのかもしれない。 『たしかに、マイクがついてるかもな』 阪東も近くにあったボールペンを取ると、ちよが書いた字の下にそう書き足した。 それを見てちよは、さらにその下に書き足す。 『これから、脱出の相談するときは筆談にしましょう。』 仕方ねえなと思いながら、阪東は新しい紙を取り出し、筆談を続けた。 『カメラは?』 いちいち文章を書くのは面倒なので、阪東は短くそれだけ書くとちよに見せた。 イチイチ細かく書かなくても、ちよなら意図をくみ取ってくれるだろうと思ったのだ。 『もしカメラがついていたら、よく見れば分かると思います。』 阪東が思った通り、ちよは阪東が言いたかった事を正確に読み取り、的確な返事を返した。 『他には?』 『今はまだ、これ以上の事は分かりません。もう少し、考える時間をください。』 最後にそこまで書いて、この筆談は終了した。 「これ食ったら、村の反対側まで行くぞ。一条が午前中に見回ったらしいが、 一応自分の目で見てみてーからな」 「はい、わかりましたー」 筆談を終え、また二人が普通にしゃべりだしたその時だった。 タタタァン 二人の耳に銃声のような音が聞こえた。 この時点の二人はもちろん知らないが、これは都が秀吉を撃った銃声だ。 その前に、都が理子やかれんを撃ったときは屋内だったため、この二人のところまでは音が 届かなかったが、秀吉を撃ったのは屋外だったため、その音が阪東達のところまで届いたのだ。 「!!」 「ば、阪東さん!」 「ああ、銃声だ!」 「どど、どうしましょう?」 「荷物をまとめろ!戻るぞ!」 阪東はそう言うと、手早く荷物を片付けて立ち上がった。 それを見て、ちよも慌てて自分の荷物をデイバッグに詰め込めんだ。 そうして阪東達が民家に戻ったときには、すべてが終わった後だった。 民家に近づくと、まず阪東が草むらの中で横たわる秀吉を発見した。 「あれは……」 「どうしたんですか?」 身長の低いちよは草が邪魔で、まだ秀吉の姿を見つけられずにいた。 「お前は来るな」 「あ……はい」 “あれ”の時の二の舞にならないよう、阪東はちよを草むらの手前で待たせると、 自分一人で草むらの中へ入って行った。 (クソッ、防弾チョッキごとかよ) 秀吉は、防弾チョッキごと撃ち抜かれていた。 「阪東さん、どうですか?」 「こっちはダメだ。家の中に入るぞ」 こうなると、家に残っていたはずのもう二人の事も気になる。 阪東達は、急いで理子達がいるはずの民家へ向かった。 「ちよはここで待ってろ」 「…はい」 玄関に入ると、阪東は意識してちよの名前を呼び、ここで待つように言った。 ちよ自身はよく覚えていないが“あれ”の時の事があるのはわかっているので、 ちよも素直にそれに従い、家の奥へ入って行く阪東を見送った。 □ □ □ 「はぁ…………はぁ…………はぁ…………」 かれんは都に撃たれた後、ずっと床に倒れたまま、痛みと死の恐怖に耐えていた。 (痛い……苦しい……) かれんが浴びたふたつの銃弾は、それぞれかれんの腹と胸に命中していたが、 マグナム弾をその身に受けた理子がほとんど即死だったがのに対し、かれんが受けたのは 普通の9ミリ弾で、当たった場所もいわゆる急所では無かったため即死は免れていた。 しかし、すぐに手術が出来る病院に運び込まれたのなら助かったかもしれないが、 何の手当てもできないこの状況では、その傷も致命傷と何も変わりが無かった。 (私……このまま……死ぬの、かな?) 近くには、秀吉や阪東の手当てをしたときに使った救急箱が転がっているが、 撃たれたときのショックと、絶え間無く襲ってくる激痛、そして大量の出血のせいで ほとんど自力で動く事が出来ないかれんは、自分の傷の応急処置すら出来なかった。 「はぁ…………はぁ…………」 どれだけの間、そうしていただろうか? かれんの最期の時は着実に近づいてきていた。 (嫌……怖い…怖いよ……誰か、助けて……) 死に対する恐怖と、絶え間なく続く痛みに、かれんの精神力は限界に達していた。 「オイ、赤坂!一条!いるか!?」 阪東が開け放たれたままのドアからその部屋に入ったのは、そんな時だった。 「赤坂……ダメか!」 阪東は、まず倒れている理子を見つけて揺すってみたが、理子は何の反応も示さなかった。 「はぁ……はぁ……、阪、東、さん?」 「一条!」 その声に導かれ、阪東はその近くに横たわるかれん姿を見つけると、絶句した。 かれんは死んでこそいないが、服とその下の床は、かれん自身の血で真っ赤だった。 「はぁ……はぁ……良かっ、た……阪東、さん……」 「良くねーだろ!一体何があった!」 かれんの様子に驚く阪東をよそに、かれん自身は先ほどまでの恐怖心が嘘のように消え去り、顔に微笑みすら浮かべていた。 (そっか……私、一人ぼっちで死ぬのが怖かったんだ) もちろん死ぬこと自体もとても怖いが、かれんが最も恐ろしいと感じていたのは、 誰にも看取られずに死ぬ事だった。 だから、阪東が来てくれて……、自分を看取ってくれる人が来てくれて、とても安心した。 「オイ、しっかりしろ」 驚きながらも阪東はかれんに歩み寄ると、かれんの肩と頭に手を添えて抱き起した。 「うっ……」 すると、かれんが小さくうめき声を上げ、かれんの体から床にボタボタと血が流れ落ちた。 (クソッ、こいつは駄目か?) 医学の知識など持っていない阪東から見ても、明らかに危険な血の量だ。 これは、残念だがどう見ても助かりそうにない。 「阪東、さん、お願いが……」 「ああ、何だ?」 「私が……、死ぬ、まで、このままで……」 「バッバカヤロー!」 阪東は、そんな事を言うかれんを叱咤しようとして、やめた。 今さらそんな事をしても、もう無駄だと思ったのだ。冷たいようだが、それは事実だった。 「……わかった、その代わり聞かせろ、何があった?誰にやられたんだ?」 「……宮、崎、さんです」 少し間があった後、かれんはそれだけ答えた。 「宮崎?どんなヤツだ?」 阪東はさらに質問を重ねたが、もうそれに答える時間は、かれんには残されていなかった。 「む、ら、役場の、奥…、し、資料棚の、な、か……」 それが分かっていたかれんは、最後にこれだけは言っておかなければと思い、 何とか声を絞り出すと、力尽きたように身体の力を抜き、目を閉じた。 「村役場?資料棚?どういうことだ?」 (ごめんなさい、阪東さん。もう、しゃべるの辛いんです) 「オイ、しっかりしろ!オイ!」 (このまま、寝かせて、くだ、さい……) 「一条?」 (おやすみ、なさ、い…………) こうして、かれんは永遠の眠りに落ちて行った。 □ □ □ 「あ、阪東さん。どうでしたか?」 玄関に座って阪東を待っていたちよは、阪東が戻ってくると立ち上がって尋ねた。 「村役場だ。行くぞ」 しかし阪東は、ちよの質問には答えず、それだけ言うと玄関を出て行った。 「え?待ってくださーい」 ちよも慌ててそれを追いかけて外へ出た。 そして、電気のつかない玄関では薄暗くて見えなかったが、 外に出てみると、阪東の手にべっとりと血が付いているのが分かった。 「阪東さん!!手に血が!」 「ああ、オレのじゃねーよ」 その血はかれんのものだ。しかし、かれんが死の間際に言っていた村役場というのが 気になった阪東は、その説明を後回しにしてそれだけ言うと、先を急ごうとした。 しかしそこで、阪東はちよの様子がおかしい事に気付いた。 「血……血が……血が……」 ちよの体は小刻みに震えており、焦点の合っていない様子の目には涙が溜まっている。 「おい、どうした?」 「血…、血……」 「血?…血が原因なのか?」 理由は分からないが、ちよがこうなったのは、阪東の手についた血を見たときからだ。 ならばと、阪東はデイバッグからペットボトルを取り出し、手についた血を洗い流した。 今まで何度か口を付けていたそのペットボトルは、それで一本、空になってしまった。 「ホレ、見てみろ!もう血はついてねーぞ!」 「あ……」 阪東が、血を洗い流した手をちよに見せると、ちよはその手を両手で掴み、 しばらくの間、その手をじーっと見ていたが、やがて落ち着くと、顔を阪東の方へ向け、 「ホントですね」と言って弱々しく笑った。 「もういいか?…だったら村役場に行くぞ。ワケは向こうで話してやる」 「はい」 ちよの返事を聞いて、阪東は再び村役場へと歩き出した。 ちよがまだ阪東の手を握ったままだったが、阪東は別にそれを振りほどこうとはしなかった。 「阪東さん、それで、赤坂さん達は…?」 そうして手をつないだ状態で歩きながら質問したちよに、阪東は無言で首を振って答えた。 「そう…ですか」 ちよもこの答えは予想しており、それほど大きくは驚かなかったが、 悲しみは隠しきれず、目からは涙がボロボロと零れた。 「赤坂さん……、一条さん……」 「…………」 阪東は黙ってちよの手を引き、村役場まで歩いた。 「そうですか、一条さんが…」 「ああ、こっちに何かあるんだろうよ」 村役場に到着すると、阪東は、秀吉や理子、そしてかれんがどういう状態だったかということと、かれんが最後に残した言葉をちよに伝えた。 「えーと、宮崎……、この人でしょうか?室江高校に宮崎都という人がいます」 ちよは繋いでいた手を離すと、デイバッグから名簿を取り出し宮崎という名を見つけた。 「そいつが一条達のカタキってわけだ」 「カタキ……」 「どうだ?カタキを討ちたいと思うか?」 「それは……、わかりません」 阪東にそう言われ、ちよは自信無さそうにうつむいた。 「一条さん達のことは……悔しいですけど、私はその人がどんな人なのか知らないですし」 「まあ、どっちにしろ今のままじゃ無理だろーな。 そいつは防弾チョッキをブチ抜くような銃を持ってんだ」 「はい…」 そんな事を話しているうちに、阪東達は目的の部屋に着いたようだ。 「ここか?」 「きっとそうですね。資料棚がたくさんあります」 「ああ、何かないか、手分けして探すぞ」 「はい」 そうして、ちよと阪東は手当たり次第に資料棚を調べていった。 「ん?コレは……」 阪東が何個目かの引き出しを開けた時、カラカラと引き出しの中で何かが転がった。 つまみ上げてみると、それはどうやら銃弾のようだ。数は8個。 さらに、同じ引き出しの奥には、銃の説明書が入っていた。 「こいつのか」 阪東はポケットに手を突っ込むと、ワルサーP38を取り出した。 先ほどの民家で、かれんの近くに転がっていたのを拾っていたのだ。 そして、説明書を読みながら弾を込めていく。 どうやらかれんが最後に言ったのは、自分が隠した支給品のありかだったようだ。 (ありがてーな) これで、銃を持った相手とも互角だ。 「阪東さん!」 阪東がそんな事を考えていると、他の資料棚を調べていたちよが声を上げた。 「どうした?」 「こっち、この中です」 ちよが調べていた資料棚を促されるままに覗き込んだ阪東が目にしたのは、弓矢と銃が一緒になったような武器だった。 「ボウガンか」 阪東が手を伸ばし、それを持ちあげると、さらにその下からは矢が1ダース出てきた。 ワルサーP38は、元々は理子に支給された武器であり、最初、かれんに支給されていた武器はこれだったのだ。 「他にも何かあるかもな、もう少し調べてみるか」 「はい」 こうして二人はもう少しの間、村役場の中を調べていくのだった。 阪東とちよは、そうした作業に没頭することで、理子、かれん、秀吉の三人が 死んだことによるショックを和らげようとしていたのかもしれない。 【赤坂理子@今日から俺は!! 死亡】 【加東秀吉@クローズ 死亡】 【一条かれん@スクールランブル 死亡】 【残り23人】 【C-3 村役場/一日目 午後】 【阪東秀人@クローズ】 【状態】:疲労(中)、精神的ショック(中) 肉体損傷(中) 【装備】 クロスボウ(矢 12本) 【所持品】 支給品一式、鉄パイプ、トラロープ、ワルサーP38(弾数8/8)、鎌 【思考・行動】 1:村役場の中を調べる 2:襲ってくるなら誰であろうと叩きのめす ただし余程の事が無い限り殺す気は無い 4:この島から脱出する 5:くそったれ……! 【美浜ちよ@あずまんが大王】 【状態】:精神的ショック(一種のトラウマ化) 【装備】 なし 【所持品】 支給品一式 【思考・行動】 1:村役場の中を調べる 2:島からの脱出について考える 【その他】 加東秀吉の持ち物(防弾チョッキ、アイスピック、支給品一式)は、 秀吉の死体が身につけたままです。 理子とかれんの持ち物(支給品一式×4、整髪料、取っ手付き麺棒)は、 役場近くの民家の一室に放置されています。
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メルカトル先生 通称めるちゃん マスター。 がちゃあてることしかできないやーつ 妬み対象。 ちなみにイケメン (情報提供ゼイム) HiLoope 通称ひーちゃん AI厨 まじきちAI厨 名言「俺感度下げたいんだけどAIするとき振り向きが大事だから変えられないんだよねー。」 最近paraつこーとるがな。 ゼイム 通称アッー イケメソ 伝説がある。 自然教室で女子4人とヤった。 ちなみにソースはお好みソース どろソースは外道 Don*K4ts丼. 通称どんかつ ガチャ厨 いや、課金中 SAAへのこだわり。 そして親子丼は嫌いらしい。 GOHN*lucky 通称ゴン 異次元ばっかやっててAVA本来の目的を忘れた子。 鬼ご民でレックス大好き(棒読み ちなみにVCであえぐ池沼 白猫紳士 通称ネコちゃん センシ57(キリッ へんたいAIMer モシン音しなさすぎて弾減ってんのかわからない。 xx鯖太郎xx 通称さばちゃん FGガチ勢 AIM○ ♂○ アッー○ ゼイムのケツ狙い常習犯 らん32 通称らん VCにはいれないこと多い。 理由はおんなつれこんでるからという 仮説が立っている。 ソースはゴン CategoryMK 通称カテちゃん テストなう。 AVAできひん。 [Enj0y]TeN 通称てんぷぎゃのーと いわずとしれたAlastorエース(キリッ 振り向き49cmから繰り出される精密なAIMで敵を倒す。 神スナめざして活動中。 また、Alastorの唯一の人間。 NeoGranZon 通称ねおさん SAAかっちょいい スナうまいっしいfしうぐいd SAAほせぃいいいいいいいい クレ 妃宮千早. 通称ちはやさん 最強だZE☆ミ
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第1話『森の住人』 scene名 消費AP EXP ジェム 獲得アイテム scene1 蜂の少女を村へ送ろう 1 10 6~10 シーフ インプ カケラ(ハニーナース) scene2 森のことを聞こう 1 10 6~10 ワイルドキャット バウンティハンター - scene3 蜂の少女のことを聞こう 1 10 6~10 パイレーツ くのいち カケラ(ハニーナース) scene4 もうすぐ村に着く... 1 10 6~10 バウンティハンター シーフ - 第2話『森を守るもの』 scene名 消費AP EXP ジェム 獲得アイテム scene1 植物女王とは 2 20 14~20 ガブリエル パイレーツ カケラ(ハニーナース) scene2 魔石に汚染されたモンスターとは 2 20 14~20 ワイルドキャット ラミア バッカス scene3 魔石を浄化するとは 2 20 14~20 くのいち エンプーサ カケラ(ハニーナース) scene4 さらに奥に進もう 2 20 14~20 ジャヒー ガブリエル ライラプス scene5 瘴気が強くなってきた... 2 20 14~20 シーフ バウンティハンター カケラ(ハニーナース) 第3話『神の世界ヴァルハラ』 scene名 消費AP EXP ジェム 獲得アイテム scene1 トールを追いかけよう 3 30 22~30 ガブリエル バウンティハンター バッカス scene2 トールは何処に 3 30 22~30 くのいち ヤクシニー カケラ(トール) scene3 ヴァルハラにもモンスターが 3 30 22~30 巫女 ラミア クノイチメイド scene4 あの二人は魔石と? 3 30 22~30 ガブリエル バウンティハンター カケラ(トール) scene5 そろそろ見えてきた 3 30 22~30 シーフ パイレーツ ブラックドッグ クリア報酬 配属コスト+1×3、強化ディスク[R]×2、APレーション×1、BPウォーター×1、HPストーン80000×5、5000ジェム 第4話『神々の友情』 scene名 消費AP EXP ジェム 獲得アイテム scene1 ツクヨミを追いかけよう 4 40 32~42 ジャヒー ラパン カケラ(トール) scene2 トールとツクヨミのことを聞こう 4 40 32~42 インプ 八咫烏 バッカス scene3 トールの願いは 4 40 32~42 ジャヒー シーフ カケラ(トール) scene4 ツクヨミの評判は 4 40 32~42 ラミア 八咫烏 ライラプス scene5 そろそろ近いぞ 4 40 32~42 インプ 巫女 カケラ(トール) scene6 あたりが一層怪しくなってきた 4 40 32~42 シーフ パイレーツ クノイチメイド 第5話『波乱の闘技大会』 scene名 消費AP EXP ジェム 獲得アイテム scene1 闘技大会を勝ち進もう 4 40 36~46 ジャヒー ラパン カケラ(エルダ) scene2 迫りくる出場者をなぎ倒せ 4 40 36~46 インプ 巫女 アルミラージ scene3 エルダの援護にまわろう 4 40 36~46 エンプーサ ヤクシニー カケラ(エルダ) scene4 エルダに後れをとるな! 4 40 36~46 くのいち ジャヒー グリフォン scene5 力を合わせて勝ち進もう 4 40 36~46 シーフ エンプーサ カケラ(エルダ) scene6 チャンピョン挑戦権を獲得しよう 4 40 36~46 ラパン パイレーツ ニケ 第6話『闘技大会の黒幕』 scene名 消費AP EXP ジェム 獲得アイテム scene1 闇の闘技場を突破しよう 5 50 44~56 シーフ パイレーツ カケラ(エルダ) scene2 不死世界のモンスター達をかいくぐれ 5 50 44~56 ワイルドキャット ラパン ランサー scene3 ココナを守りながら進め 5 50 44~56 八咫烏 エンプーサ カケラ(エルダ) scene4 がんがん進もう! 5 50 44~56 ジャヒー ガブリエル ライラプス scene5 入り組んだ道を攻略しよう 5 50 44~56 シーフ パイレーツ カケラ(エルダ) scene6 なんとか行けそうだ 5 50 44~56 ガブリエル バウンティハンター ブラックドッグ scene7 主催者の部屋に突入しよう 5 50 44~56 くのいち ヤクシニー カケラ(エルダ) 第7話『謎の研究所』 scene名 消費AP EXP ジェム 獲得アイテム scene1 カーバンクルから話を聞こう 5 50 50~62 巫女 ラミア サキュバス scene2 もっと話を聞こう 5 50 50~62 ガブリエル バウンティハンター カケラ(カーバンクル) scene3 カーバンクルを落ち着かせよう 5 50 50~62 シーフ パイレーツ ブラックドッグ scene4 カーバンクルに何をしていたのか聞こう 5 50 50~62 ジャヒー ラパン カケラ(カーバンクル) scene5 この研究施設のことを聞こう 5 50 50~62 インプ 八咫烏 バッカス scene6 危ない予感がしてきた 5 50 50~62 ジャヒー シーフ カケラ(カーバンクル) scene7 とらわれた仲間を探そう 5 50 50~62 ラミア 八咫烏 アラクネ 第8話『マッド研究者』 scene名 消費AP EXP ジェム 獲得アイテム scene1 研究施設を調査しよう 6 60 66~80 インプ 巫女 カケラ(カーバンクル) scene2 怪しい部屋を調査しよう 6 60 66~80 シーフ パイレーツ ニケ scene3 研究道具を調査しよう 6 60 66~80 ジャヒー ラパン カケラ(カーバンクル) scene4 おかしなボタンを調査しよう 6 60 66~80 インプ 巫女 アルミラージ scene5 ハスターの部屋はどこ 6 60 66~80 エンプーサ ヤクシニー カケラ(カーバンクル) scene6 部屋をしらみつぶしに探そう 6 60 66~80 くのいち ジャヒー グリフォン scene7 とらわれていた獣人を発見した 6 60 66~80 シーフ エンプーサ カケラ(カーバンクル) scene8 獣人から話を聞こう 6 60 66~80 ラパン パイレーツ アックスエルフ 第9話『桜吹雪の少女』 scene名 消費AP EXP ジェム 獲得アイテム scene1 砦を進もう 6 60 72~86 エレメンタラー パイレーツ カケラ(アメノウズメ) scene2 ウズメを守りながら進もう 6 60 72~86 ワイルドキャット ドッグガール ノーデンス scene3 注意深く進もう 6 60 72~86 ピクシー エンプーサ カケラ(アメノウズメ) scene4 ウズメから話を聞こう 6 60 72~86 ジャヒー マーメイド 天邪鬼 scene5 ウズメの踊りを見せてもらおう 6 60 72~86 エレメンタラー パイレーツ カケラ(アメノウズメ) scene6 迫り来るモンスターを倒そう 6 60 72~86 ガブリエル バウンティハンター アサシン scene7 ウズメを守りながら進もう 6 60 72~86 サムライ ヤクシニー カケラ(アメノウズメ) scene8 モンスターに囲まれた!突破しよう! 6 60 72~86 巫女 ラミア プリンセスナイト 第10話『少女の真意』 scene名 消費AP EXP ジェム 獲得アイテム scene1 セクメトを追いかけよう 7 70 84~100 ガブリエル バウンティハンター カケラ(アメノウズメ) scene2 足跡を辿っていこう 7 70 84~100 シーフ エレメンタラー ハイインプ scene3 モンスターが襲いかかって来た! 7 70 84~100 ジャヒー ラパン カケラ(アメノウズメ) scene4 ウズメの踊りを今度こそ見せてもらおう 7 70 84~100 インプ 八咫烏 バッカス scene5 リエルについての話を聞こう 7 70 84~100 ジャヒー シーフ カケラ(アメノウズメ) scene6 迫り来るモンスターを倒せ! 7 70 84~100 ラミア ピクシー アラクネ scene7 注意深く進んでいこう 7 70 84~100 インプ ドッグガール カケラ(アメノウズメ) scene8 足跡を見失った 7 70 84~100 シーフ パイレーツ クノイチメイド scene9 セクメトを見つけた!追いかけよう 7 70 84~100 ジャヒー ラパン カケラ(アメノウズメ) クリア報酬 セクメト(R)、配属コスト+1×3、カード枠最大数+1×2、強化ディスク[R]×2、APレーション×2、BPウォーター×2、HPストーン80000×5、5000ジェム 第11話『死神少女の憂鬱』 scene名 消費AP EXP ジェム 獲得アイテム scene1 墓場を進もう 7 70 90~106 ピクシー 巫女 天邪鬼 scene2 死神の仕事とは? 7 70 90~106 エンプーサ ヤクシニー カケラ(死神) scene3 アンデッドが襲いかかってくる... 7 70 90~106 くのいち ジャヒー ヘカテー scene4 冥界神主の話を聞こう 7 70 90~106 シーフ エンプーサ カケラ(死神) scene5 死神と共に進もう 7 70 90~106 ラパン サムライ アックスエルフ scene6 注意深く進んで行こう 7 70 90~106 パイレーツ ラミア カケラ(死神) scene7 立ちふさがるアンデッドを倒せ! 7 70 90~106 エンプーサ 八咫烏 アルミラージ scene8 気配が変わった...!? 7 70 90~106 バウンティハンター ジャヒー カケラ(死神) scene9 冥界王が姿を現した! 7 70 90~106 八咫烏 ワイルドキャット ノーデンス クリア報酬 配属コスト+1×3、カード枠最大数+1×2、強化ディスク[R]×2、APレーション×2、BPウォーター×2、HPストーン80000×5、5000ジェム 第12話『死者の道』 scene名 消費AP EXP ジェム 獲得アイテム scene1 先程と雰囲気が違う… 8 80 104~122 シーフ エレメンタラー カケラ(死神) scene2 死神と共に進んで行こう 8 80 104~122 ワイルドキャット ドッグガール バッカス scene3 次々と襲い来るアンデッドを倒せ! 8 80 104~122 八咫烏 エンプーサ カケラ(死神) scene4 注意深く進んでいこう 8 80 104~122 ジャヒー ガブリエル ライラプス scene5 素早いアンデッドが現れた! 8 80 104~122 シーフ パイレーツ カケラ(死神) scene6 群がるアンデッドを吹き飛ばせ! 8 80 104~122 マーメイド バウンティハンター ブラックドッグ scene7 死神と協力してアンデッドを倒せ! 8 80 104~122 サムライ ヤクシニー カケラ(死神) scene8 冥界王の力に立ち向かえ! 8 80 104~122 巫女 ラミア プリンセスナイト scene9 冥界王の姿が見えた! 8 80 104~122 ガブリエル バウンティハンター カケラ(死神) scene10 冥界王のもとへ辿り着け! 8 80 104~122 シーフ エレメンタラー ハイインプ クリア報酬 ハデス(R)、配属コスト+1×3、カード枠最大数+1×2、強化ディスク[R]×2、APレーション×2、BPウォーター×2、HPストーン80000×5、5000ジェム 第13話『戦慄の学園』 scene名 消費AP EXP ジェム 獲得アイテム scene1 学園の校庭に足を踏み入れた 8 80 110~128 ジャヒー ラパン カケラ(エマ) scene2 周りから唸り声が聞こえてくる… 8 80 110~128 インプ 八咫烏 バッカス scene3 生徒達が襲いかかってくる… 8 80 110~128 ジャヒー シーフ カケラ(エマ) scene4 エマは汚染されていない? 8 80 110~128 ラミア マーメイド アラクネ scene5 魔石への適性とは 8 80 110~128 インプ 巫女 カケラ(エマ) scene6 エマと共に校庭を進もう 8 80 110~128 シーフ パイレーツ クノイチメイド scene7 学園長を探せ! 8 80 110~128 ジャヒー ラパン カケラ(エマ) scene8 魔法学園での日常 8 80 110~128 インプ 巫女 アルミラージ scene9 学園長室へ 8 80 110~128 エンプーサ ヤクシニー カケラ(エマ) scene10 学園長を守る生徒達 8 80 110~128 くのいち ジャヒー グリフォン クリア報酬 配属コスト+1×3、カード枠最大数+1×2、強化ディスク[R]×2、APレーション×2、BPウォーター×2、HPストーン80000×5、5000ジェム 第14話『指導、開始』 scene名 消費AP EXP ジェム 獲得アイテム scene1 逃げた学園長を追え! 9 90 122~142 シーフ エンプーサ カケラ(エマ) scene2 階段を駆け上がれ! 9 90 122~142 ラパン パイレーツ プリンセスナイト scene3 廊下を駆け抜けろ! 9 90 122~142 パイレーツ ラミア カケラ(エマ) scene4 立ちふさがるモンスターをぶっ飛ばせ! 9 90 122~142 エンプーサ 八咫烏 アルミラージ scene5 学園長の姿が見えた! 9 90 122~142 バウンティハンター ジャヒー カケラ(エマ) scene6 逃げる学園長を追い詰めろ! 9 90 122~142 八咫烏 ワイルドキャット ノーデンス scene7 屋上へ急げ! 9 90 122~142 シーフ パイレーツ カケラ(エマ) scene8 扉を守るモンスターをぶっ飛ばせ! 9 90 122~142 ワイルドキャット ラパン ヘカテー scene9 屋上へ着いた!モンスターを倒せ! 9 90 122~142 エンプーサ 八咫烏 カケラ(エマ) scene10 囲まれた!?突破しよう! 9 90 122~142 八咫烏 ワイルドキャット 天邪鬼 scene11 遂に学園長を追い詰めた! 9 90 122~142 バウンティハンター ジャヒー カケラ(エマ) クリア報酬 魔術師レヴィ(R)、配属コスト+1×3、カード枠最大数+1×2、強化ディスク[R]×2、APレーション×2、BPウォーター×2、HPストーン80000×5、5000ジェム 第15話『天使の兄妹』 scene名 消費AP EXP ジェム 獲得アイテム scene1 ザドキエルに事情を聞こう 9 90 128~148 ガブリエル パイレーツ ディオネ scene2 ケルブのことを尋ねよう 9 90 128~148 ワイルドキャット ラミア カケラ(ザドキエル) scene3 魔石のことを説明しよう 9 90 128~148 エンプーサ 八咫烏 ガンナーエルフ scene4 飛空島を探索しよう 9 90 128~148 くのいち エンプーサ カケラ(ザドキエル) scene5 ケルブの手がかりを探そう 9 90 128~148 ジャヒー ガブリエル バルバトス scene6 モンスターの発生源を探ろう 9 90 128~148 シーフ バウンティハンター カケラ(ザドキエル) scene7 邪魔するモンスターたちを倒せ! 9 90 128~148 ジャヒー ラパン ヘカテー scene8 汚染が強くなってきた… 9 90 128~148 エンプーサ 八咫烏 カケラ(ザドキエル) scene9 ケルブが残した痕跡を追え! 9 90 128~148 インプ 巫女 ランサー scene10 気づかれないように接近しろ! 9 90 128~148 アルミラージ エンプーサ カケラ(ザドキエル) scene11 ケルブの背後に回り込め! 9 90 128~148 くのいち ジャヒー ディオネ クリア報酬 配属コスト+1×3、カード枠最大数+1×2、強化ディスク[R]×2、APレーション×2、BPウォーター×2、HPストーン80000×5、5000ジェム 名前 コメント
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登録日:2019/01/28 (月曜日) 12 56 00 更新日:2021/04/07 Wed 22 33 58 所要時間:約 7 分で読めます ▽タグ一覧 かぐや信者 かぐや様は告らせたい かぐや様厨 ドスケベサーチエンジン ドスケベ妄想マシーン ポンコツドスケベお味噌 マスメディア部 妄想の権化 巨瀬エリカ 紀かれん そろそろ私たちも本格的に動き始めると致しましょう…! マスメディア部の晴れ舞台ですわ!! マスメディア部とは、漫画『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』に登場する部活動及び部員達の呼称である。 活動は校内新聞の作成など、他の学園モノ作品に登場する同じような団体と似た活動程度に留まるが、 名家が集まる秀知院学園だけあって、所属部員は新聞社局長の娘だの出版社社長の娘といった、マジもんの報道関係の家系が多く在籍している。 その為、最近主人が恋をしてアホになり、それが露見し下手なゴシップ記事を打たれてしまう事を危惧している早坂愛からは要注意団体としてマークされている。 主に作中で活躍しているのは紀かれん・巨瀬エリカの2名であり、 両名が主役として活躍し、本編の裏話も描かれるスピンオフ作品『かぐや様を語りたい』が本編と同じく週刊ヤングジャンプにて連載中である。 所属部員 判明しているのは下記3名のみだが、スピンオフ15話の部長の発言から彼女たち以外にも所属部員が居る事も判明している。 【紀かれん】 『皆さん…!ご覧になって! 生徒会のお二人よ!!』 CV:朝比奈丸佳 鳶色セミロングヘアーの2年生。2年C組所属。出版社『紀出版』の社長令嬢であるお嬢様。 エリカと共に『かぐや信者』であるが、彼女は『会長×かぐや』のいわゆるカプ厨気質。 普段はかぐや信者っぷりが暴走しがちなエリカへのツッコミ役だが、 『会長×かぐや』なシチュエーションを想像したり偶然目の当たりにした時の暴走っぷりは逆にエリカに止められるほど。 古典のノートに会長×かぐやのナマモノ薄い本(*1)を執筆しているのはエリカにも秘密である。 普段からカップリング妄想をしているおかげか他人の恋愛事情には機敏であり、眞妃の翼への恋心に気付いていた唯一の人物である。 それ故か部内では『特ダネを連発するエース』らしい。 ストレス発散法は運動・音楽・爆買い等エリカに比べると割と普通。 文化祭にて、主人公2人の決定的な瞬間を偶然目の当たりにした際に『カナーン(約束の地)!!』と絶叫し卒倒。 かれんとカナンで1文字違いという偶然も相まって、『かなん』という渾名が定着した。 なお、上記のセリフはこの作品の記念すべき初セリフ。主人公たる白銀やかぐやを差し置いて最初に喋ったのは彼女なのである。 【巨瀬エリカ】 『かぐやしゃまは日本一のおんにゃのこ……そして私は虫に生まれた』 CV 朝井彩加 黒髪ぱっつんの2年生。かれんと同じく2年C組所属。 かれんや部長と違い報道関係の家系ではなく、大手味噌メーカーの社長令嬢である。 かれんと共に『かぐや信者』であるが、彼女は純然たるかぐやの狂信者。 その信者っぷりはかぐやと目を合わせただけで興奮のあまり気絶してしまう(*2)わ、 『かぐやにとって自分は喋る雑草と思ってもらう程度で良い』『かぐやと同じ時代に生まれただけで幸せ』といった発言をするわ、 かぐやに出そうとして思い留まったファンレターがダンボール一箱分保存してあるわとかなり度がイってしまっており、 基本的にスピンオフは彼女が『かぐやへの信奉熱によるボケ』、かれんがそれを静止するツッコミとして進行している。 また、日々カップリング妄想で恋愛脳を鍛えている(?)かれんと違い他人の恋愛感情には疎く恋愛音痴で、そういう話題の時もボケ担当。 ◯◯とのカップリング、という形ではなくかぐや1人を純粋に信奉している為、かれんの会長×かぐやのカップリング妄想が爆発した際にはボケとツッコミの立場が逆転する。 そんな彼女も一応マスメディア部として取材に奔走しているようではあるが、 白銀と藤原のバレー特訓を逢瀬と勘違いしスクープにしようとするも『色恋沙汰を記事にするなんて当人たちは傍迷惑な話』と取り止める辺り、 良い子ではあるが残念ながらマスメディア部向きの人間ではないご様子。 ストレス発散法は味噌をすり潰すこと。 その残念さと家系の影響を受けた珍奇なストレス発散法、そして後述する理由で読者からの呼称みそが定着しており、 某掲示板では今や名前よりみそ呼ばわりされる方が多くなっている始末である。 なお、もちろんあくまで読者間での呼び名に過ぎなかったのだが、 最近本家にて『ミソちゃん』という形で逆輸入されたので、作者公認となったようだ。 【朝日雫】 3年のマスメディア部部長。新聞社局長の娘。 優しそうなメガネっ娘であり、かれんからは『押しに弱い』と認識されているが、割り振った仕事はきっちりやらせる気質。 本編では過去編に登場し、ボランティアとして汚れた沼の清掃活動を行っていたが、 他の生徒に不意にぶつかられて溺れかけた所を『氷のかぐや姫』時代のかぐやに救出された。 白銀は汚れる事も溺れる事も顧みず助けに入ったかぐやの姿を見て、彼女に惚れ込み生徒会長を目指すようになる。 つまり、実は知らずの内に主人公2人の恋が始めるきっかけを作った重要人物であると言える。 交友関係 【白銀御行】 かれんがかぐやとセットで信奉している対象。 本編での文化祭取材時にはかれんは『尊みが深すぎて』声が出せなくなりエリカへバトンタッチしていた。 また、スピンオフではバレーが出来なくて死んだアルパカ状態で倒れている所をエリカに目撃されており、あわやスクープの餌食になる所だった。 【四宮かぐや】 かれんとエリカの信奉の対象。 エリカが彼女と目を合わせただけでぶっ倒れてしまった為、マスメディア部への調査依頼に『四宮副会長は目で人を殺せるのは本当か』という投書が来た事もある。 いつ頃から気付いていたかは定かではないが、本編での文化祭取材時にはかぐやの方も2人の信心に気付いており『何やら自分に幻想を抱いてる人たち』と認識している。 【藤原千花】 かぐやの親友という事でかれんやエリカから一応一目置かれているが、 彼女の藤原千花な面を見る度に引き気味に恐れおののいていたり、 色々と曰く付きのTG部所属という事で評価が下がっていたりする。 【石上優】 かれんの妄想ナマモノ同人誌執筆の秘密を知る唯一の人物。 彼に偶然見られてしまった際にはかれんは『神なんて居なかった』と無表情で絶望していたが、 その場でじっくり熟読した上に『読み手が置いてけぼりで絵柄が古い』と講評しながらも『悪くないと思ったから良かったらまた見せて下さい』と、ヲタクらしく理解を示した。石上編集…!! なお、『かぐやの周辺の人物』としては白銀や藤原ほど目立たない為かエリカには顔をほぼ覚えられていない。 【早坂愛】 かぐやの近侍として当然かれんやエリカの信心は熟知しており、マスメディア部という情報発信の出来る立場も有ってか警戒されてはいるものの、 部長は『新聞社局長の娘』、かれんは『大手出版社社長の娘』という認識なのに比べ、 報道とは無関係な大手味噌メーカー社長の娘な上、かぐやとはロクに会話出来ないザコっぷりを晒すエリカに対しては『みそ』という適当すぎる認識を抱いており、 これがきっかけで読者の間でエリカへの呼称『みそ』が定着する事となった。 だが、ノーマークであるエリカには『演技』と勘違いされながらも『かぐやのSP』と正体を当てられかけており、 逆に警戒しているかれんが行っている『かぐやの姿を見ながらのメモ行為』が実は妄想同人誌用のネタまとめなだけあったりと、警戒が空回りしているのが現状である。 懐に潜り込みスクープを未然に防ぐ為、かれんとエリカの『かぐや様ファンクラブ』にギャルモードで加入している。 【伊井野ミコ】 風紀委員である彼女から『規律を乱すような行いが目立つ』とマークされており、抜き打ち検問に襲来されたりしている。 ……が、項目を見て頂ければ分かるとおりザコちゃんはミコミコちゃんはザコである為以前に没収されたBL雑誌をミコが読んでいた事を暴いてみせたり、 ちょっぴり◯◯な参考資料はダンボール箱に押し込んでチェックをいなしている。 が、隠れ強キャラな雰囲気を醸し出す大仏には全てバレていたりする。 【柏木の彼氏(翼)】 彼が本編にて白銀に恋愛相談を行ったきっかけは、かれんとエリカの会話を勘違いした事が発端である事がスピンオフで明らかとなっている。 眞妃が彼に片想いしている事実を知るかれんは『翼が眞妃に恋している』と勝手に勘違いし白銀への相談を勧めたが、 その顛末は……お察しください。 【柏木渚】 かれん・エリカ・眞妃との仲良し4人グループの1人。 本編にて彼女が翼に彼女の有無を聞いたのは、『マスメディア部の調査依頼』というかれんのその場しのぎのでっち上げを真に受けたのが原因である事が明らかとなっている。 恋愛相談以降かぐやとの距離を縮めた事に対してエリカから嫉妬されていたりする。 【四条眞妃】 仲良し4人グループの1人。 彼女のあのような不幸の始まりは、白銀の壁ダァンの直伝以外にはかれんの勘違いからの助言がきっかけである。(*3)ごめん…なさい… 彼女はそれを知らないが、もし知ってしまった日にはかれんの命やいかに…… 皮を剥いで鞣してやる… 追記・修正はかぐや様に天上から見守られながらお願い致しますわ! △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 名前 コメント